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(3)社会・経済
(1)人口
 平成7年から平成12年にかけての人口増減をみると、県総人口は微増、特につくば市から南に向けての地域、水戸市周辺、県南部等で伸びが目立つ(龍ケ崎市11%、牛久市10%、守谷町10%、神栖町9%など)。その中で、対象地域は友部町を除く地域で人口減少がみられる。対象地域内の市町村で最も人口増加率の高い友部町(+5%)と、最も減少率の高い岩瀬町(−3%)が笠間市(−1%)を挟んで東西に位置しているのが象徴的である。
 高齢者人口比率をみると、対象地域の平均18.3%は概ね全国平均に近い(2002年9月15日発表の推計値では日本の65歳以上人口は総人口の18.5%)。高齢者人口比率が最も低いのは人口の増加がみられる友部町(15%)、一方高いのは人口が減少傾向にある大和村(22%)、笠間市(21%)、岩瀬町(21%)などである。
 
(2)産業
 古くから農業をベースにしてきた。第一次産業人口比率は低下の一途にあるものの、米、果物生産などで県の農業を牽引している。
 第二次、三次産業については、工業団地の形成などがみられるものの、臨海部や県南部に比べるとその規模は小さい。中核都市機能を有する下館はじめ、結城、笠間に都市的産業の集積がみられるが、小山、水戸両都市圏の商圏の間でその吸引力を受けている。笠間を中心に観光産業がみられるが、宿泊型の観光地形成はみられない。
 その中で、笠間焼、石材産業、結城紬など、特色ある地場産業がみられ、地域イメージにもつながっている。
 
(3)生活行動圏の構造
 茨城県の商圏・余暇活動圏の構造をみてみると、県都水戸市の求心性の高さが目立つ。特に、県北・県央地域から水戸市への流入軸が強い。県の西部では、栃木県、南部では千葉県、西部では埼玉や東京方面への流出もみられる。対象地域については、下館や笠間に若干の核がみられるものの、きわめて分散的な流動構造にあることがわかる。
 通勤・通学及び、芸術文化行動の流動状況について、対象地域を中心にみてみると、通勤・通学では、岩瀬町以西の地域では下館市への流入が多く、岩瀬町以東の地域では水戸への流出が目立つ状況にあり、岩瀬町付近で二分されている圏域構造がみてとれる。結城市は、小山への流出も目立つ。芸術文化行動についても同様の構造があらわれているほか、対象地域全域にわたり東京への流出がみられ、協和町以西では栃木県方面への流出もみられる。
 日常生活行動、芸術文化行動を通じ、市部に核が形成されているものの、全体としては行動が分散的で、どちらかというと流出型の地域になっているといえる。
 
図表2−5 人口密度及び増減率
資料:総務省統計局「国勢調査」(2000年)
 
資料:総務省統計局「国勢調査」(1995−2000年)
 
図表2−6 商圏・余暇活動圏の構造(茨城県)
(拡大画面:143KB)
(a)商圏
 
(拡大画面:158KB)
(b)余暇行動圏
資料:
財団法人常陽地域研究センター「2001茨城県生活行動調査報告書」
 
図表2−7 通勤・通学行動圏
(拡大画面:181KB)
(注)
対象市町村から、あるいは対象市町村において、常住就業者および常住通学者の総和の3%以上が通勤・通学している市町村のみを抽出した
資料:
総務省統計局「国勢調査」(2000年度)
 
図表2−8 芸術・文化行動圏
(拡大画面:271KB)
(注)
対象市町村およびそこから流出率が10%以上、あるいはそこへの流入率が10%以上の市町村または近隣都道府県のみを表示した。
また、地元吸収率については対象市町村のみ表示し、網かけをした。
定義:
市町村Aでの「市町村Bへの流出率」とは、市町村Aに住む有効回答者の中で、1年以内に芸術・文化活動のために市町村Bへ行ったことのある人が占める割合であり、市町村Bでの「市町村Aからの流入率」に等しい。また、市町村AとBが同一である場合が「地元吸収率」である。
資料:
財団法人常陽地域研究センター「2001茨城県生活行動調査報告書」







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