東京財団は1997年7月1日に設立されました。その設立趣旨は、四面を海に囲まれ、人や物資の移動を海上交通に依存する日本が、急速にグローバル化する今日の世界において、人類の直面する地球的諸問題を解決し、より良き国際社会を築くために、知的リーダーシップを取ることにあります。そのために、人文社会科学分野における高等教育と研究に関わる学際的、国際的活動をとおして、国際性豊かな人材の育成と先駆的アイディアの創造を目的とするさまざまな事業活動を実施しています。これらの事業活動には、奨学活動、研究推進活動、情報交流活動が含まれます。

　

　文化や価値観の異なる人々が、互いの独自性を尊重しながらも地球社会の利益のために共生するには、豊かな人間性と優れた指導力を備えた人材が必要とされます。奨学事業では、世界の諸問題に対する深い洞察力と果敢な行動力を持ち、政治や宗教の相違あるいは国の境を越え共通の利害のために貢献する人材の育成を目的に、人文社会科学および運輸・海事分野の大学院修学のための奨学金や各種奨励プログラムを提供しています。

　また、高等教育の国際化を支援するための各種研修・交流プログラムも実施します。これは、前述の人材育成を可能とする基盤の整備を民間非営利の立場から支援するものです。

　

　

　なお、事業の評価、企画、中期事業計画の策定など奨学事業部の運営・企画については、内外の有識者や高等教育の専門家5名からなる奨学事業部国際諮問委員会より、年1〜2回の会議において、また、各種事業に関する現状報告および新規情報を適宜提供しながら、助言を受けています。

　ヤングリーダー奨学基金プログラムは、人文社会科学分野の大学院生を対象とする奨学金事業です。財団が直接学生に奨学金を提供するのではなく、日本財団から寄贈された基金の運用益を使って、各大学が独自の運営委員会の決定により学生に奨学金を提供する点が特徴です。

　1987年に事業が開始されて以来、これまでに世界43ヶ国65大学（8〜9ページのリスト参照）に各々100万米ドルの基金が寄贈されました。基金の寄贈は日本財団（財団法人日本船舶振興会）が行い、事業の運営は、フォローアップ・プログラムとともに当財団奨学事業部が担当します。

　SYLFFは単なる奨学金にとどまらず、さまざまなフォローアップ・プログラムを通じて、奨学生ネットワークの活用に力を入れている点がユニークと言えます。2002年現在、SYLFF奨学生の数は8,500名にのぼっています。

　SYLFFフォローアップ・プログラムは、大部分がSYLFF奨学生およびSYLFF基金校の教職員を対象としています。以下に紹介する各種フォローアップ・プログラムについては、現在、新規プログラムへの移行を検討しているものも含まれますので、詳細な情報及び応募用紙等は、当財団のホームページにて最新情報を入手いただくか、もしくは奨学事業部までお問い合わせ下さい。

　

　本プログラムは、大学院生による人文社会科学分野の共同研究または交流活動を支援することを目的として、SYLFF基金校の大学院生が主体となって実施される共同研究、または交流活動に奨励金を提供してきました(2002年度の応募をもって終了)。

　なお、本プログラムでは、毎年度、奨励金の対象となったプロジェクトの中から特に優れた成果を挙げたプロジェクトチームに対して優秀賞を授与してきました。また、優秀賞を獲得したプロジェクトの他、優れたプロジェクトの報告書を、SYLFFワーキングペーパーとして出版しました。

　これまでに出版されたSYLFFワーキングペーパーは次のとおりです。