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はじめに
 歴史を見ると、日本の社会を変えていくような出来事は地方から現れています。鎌倉幕府の成立、戦国時代、そして日本の近代化への幕開けとなった明治維新。それらの変革の原動力となったのは、地方が長年培ってきた文化から生まれた革新精神、独立精神でした。
 
 21世紀を迎えた今、日本は方向性を見失い新たな時代の精神を求めています。そのような時こそ、地方から発信される新たな文化が輝きを持ち始めます。中央の古い体制に頼らない地方の革新精神、独立精神を見直すことが、未来を切り拓く視点をつかむことになるのです。
 
 東京財団は、既存の価値観に捕われることなく常に時代を先取りした先見的な視野を持ち、先駆的なアイデア・情報を創造・発信することを目指しています。これから先端的・独創的なものは中央からのグローバリズムではなく、ローカリズムから生まれてくる、と当財団は確信しています。
 そのような認識のもと、地方の文化や人材などに注目し、それらにスポットを当てたシンポジウムを開催します。
 
2001年3月
東京財団
 
先生もトクする教室でのマンガ・アニメの底力
主催
東京財団、鳴門教育大学、鳴門市
後援
徳島県教育委員会、鳴門市教育委員会、徳島市教育委員会、徳島新聞、四国放送、NHK徳島支局、四国新聞、高知新聞、愛媛新聞
日時
2002年3月9日(土)午前10時〜午後5時
会場
鳴門教育大学講堂(鳴門市鳴門町高島字中島748番地)
受付
午前9時半より
 
プログラム
10:00〜10:20 開会の挨拶 溝上鳴門教育大学学長、亀井鳴門市長
 
第一部
10:30〜12:00
10:30〜11:45 講演「発想法を中心としたマンガ教育」
牧野圭一 京都精華大学教授
'76年から読売新聞に政治漫画を連載
'67年第13回文藝春秋漫画賞
'73年日本漫画家協会優秀賞
'79年トルコ・シマビ国際漫画展「雑誌セブル」賞
'84年イタリア・アンコーナ国際スポーツ漫画ビエンナーレ展国務大臣賞
'85年ブルガリア・ガプロボ諷刺とユーモア国際ビエンナーレ展招待作家
京都精華大学芸術学部マンガ学科教授
表現研究機構マンガ文化研究所長
マンガ学会事務局長
日本漫画家協会理事
マンガジャパン幹事
 高校、大学を通じ、ほとんどの学生たちが、何らかのマンガ描画能力を身につけていることがわかります。無論、描き慣れている者と、得意でない者との格差はあるのですが、皆が、言葉を話すように描くのです。「日常会話の一部」になっていると言ってもいいでしょう。私は、敢えて、現在の画力そのままで、「発想力」のみに絞って指導することで、マンガの本質に迫り、短時間で自信を持てるような授業をしたいと考えます。
 
11:45〜12:00 PCマンガ制作ツール「コミックスタジオ」デモンストレーション
 
12:00〜13:00 昼食休憩
 
第二部
13:00〜14:30
13:00〜14:30 講演「ストーリーマンガを授業に活かす!」
谷川彰英 筑波大学教授
'68年 東京教育大学教育学部卒業
'74年 同大 大学院博士課程修了
 千葉大学助教授を経て現職。2000年度より、大学院教育研究科長。博士(教育学)。柳田国男の教育思想研究で学位取得。授業づくりの研究会である“連続セミナー 授業を創る”を'87年に創設して今日に至る。地名、マンガ、食べ物などの授業づくりで知られる。マンガジャパン幹事として、石ノ森萬画館など、マンガによる町おこしにも深くかかわっている。
 最新の著書に『マンガ 教師に見えなかった世界』『地名の魅力』(いずれも白水社)がある。
 この十年近く、マンガを授業で活用するという試みを続けてきました。
 子どもたちにとって身近な存在であるマンガを取り入れることによって、授業の発想がまったく異なったものになります。その実践例のいくつかを紹介しながら、ストーリーマンガの本質に迫ります。
 メディアとしてのマンガに着目する時、授業のあり方が根本的に変わってきます。マンガは総合的な学習に最適な教材です。
 
14:30〜14:40 コメント 日下公人東京財団会長
 
14:40〜16:30 パネルディスカッション「マンガを活かす総合的学習」
谷川 彰英 筑波大学教授(大学院教育研究科長):モデレーター
牧野 圭一 京都精華大学教授(芸術学部)
佐々木宏子 鳴門教育大学教授(幼年発達支援講座)
 主たる研究は、子ども文化と子どもの心理発達についての関わりだが、附属幼稚園長になってからは「幼小の連携」など、幼児教育の実践的課題にも意欲的に取り組んでいる。
 絵本を中心に研究を行っているが、最近ではマンガやアニメーション、コンピューターゲームについても関心をもっている。
 著書には、『新版絵本と子どものこころ』(単著/JULA出版局・1992)、『児童文化入門』(共著/岩波書店・1996)、『絵本の心理学』(単著/新曜社・2000)などがある。
山本 準 鳴門教育大学助教授(社会系教育講座)
 社会学専攻。社会学各論特講、社会学演習を担当。近世から近代に至る過程で社会構造がどのように変化したのかを、特に家族構造の変動と教育システムを中心として実証的に研究している。
 著書には『現代産業社会と教育』(明石書店、共著、1991年)、『新・社会福祉論』(八千代出版、共著、1993年)、『社会学フォーラム』(福村出版、共著、2000年)などがある。
河合 克敏 マンガ家
代表作:帯をギュッとね!、モンキーターン。小学館週刊少年サンデー連載。
2000年小学館漫画賞受賞
 
 総合的な学習の本質は、学習指導要領という国家的な基準から自由にカリキュラムを作ることができることにあります。「自分探し」「自分づくり」といわれるのも、その理由によります。総合的な学習に求められるのは、豊かな発想です。常識を覆すような楽しいアイデアなのです。
 マンガには子どもの感覚にマッチした豊かなアイデアがつめこまれています。子どもが育つマンガ的な発想について討論していきます。
 
16:30〜17:00 総合質疑応答







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