日本財団 図書館


1. 事業目的
 IMO(国際海事機関)では、SOLAS条約第V章(航行の安全)の改正を行ない、航行の安全関連機器について、2002年7月1日から新しい基準が適用された。その中で、これらの機器の環境に対する耐久性等については、国際電気標準会議の規格IEC 60945(第3版及び第4版を含む)が適用されることとなった。
 我が国においても、これらの航行の安全関連機器に対する型式承認試験基準において環境に関する基準としてIEC 60945が取入れられている。この基準はいままでの型式承認試験基準と比較し、試験範囲が異なるうえ試験条件もより過酷な高温・低温試験、振動試験、腐食試験等12項目に及ぶ試験が要求されている。
 また、船級協会においても舶用自動化機器等に対しこれと同様の基準を2002年7月1日以前に前倒しで適用している。
 このため、本事業では、これら新たな基準への対応策として、特に、環境規制が強化される舶用自動化機器等を中心に調査研究を行い、これらの基準への適合性を検証すると共に、基準への対応策をとりまとめ、現行機器についての改善方策を検討し、船舶の安全性の向上に資することとした。
 
2. 事業実施計画
(1)事業実施計画の内容
 平成13年度及び14年度の2年度にわたり、船舶に装備されている安全航行に不可欠な自動化機器等の代表機種である制御器の電源パネル、発電機の自動同期投入装置、監視盤等に使用される液晶表示装置及び航海灯のうち閃光灯を供試品として、新たな環境基準により所定の試験を行い、その結果について解析・評価を行い、もって基準への適合性を検証するとともに、これら機器について誤作動対策等基準への対応策を取りまとめ、改善方策を検討した。
(1)調査・研究項目
a. 供試品の基本性能把握
b. 新たな基準による環境試験の実施
c. 環境試験結果の解析・評価
d. 誤作動対策
e. 誤作動対策後の環境試験の実施
f. 誤作動対策後の環境試験結果の解析・評価
g. 改善方策の検討
(2)事業の詳細
 平成13年度には舶用自動化機器等の供試品の基本的な性能を測定した後、所定の環境試験(高温試験、高温高湿試験、低温試験、振動試験、腐食試験)を実施し、試験結果の解析・評価等を行った。平成14年度は、13年度に実施した解析、評価をもとに誤作動対策及び改善対策を行った供試品について更に環境試験を実施し、試験結果の解析・評価を行い、総合的な誤作動対策等の改善方策の指針をとりまとめた。
 
(2)事業の実施方法及び場所
 (社)日本船舶品質管理協会に学識経験者、関係官庁、その他関係者からなる「舶用自動化機器等の国際的な環境規制に対応するための調査研究」委員会を設け、事業実施の方法及び内容等について審議を行うとともに、専門機関における試験を行った。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION