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西原 由記子(にしはら ゆきこ)(昭8.2.11生)
東京都新宿区
 
 昭和53年に大阪自殺防止センターを設立、ボランティアを募り24時間体制で自殺防止に努め、平成10年には東京にもセンターを開設した。また神戸地震の際には現地で孤独死の危険がある被災者や疲弊したボランティアたちを支えるなど、一貫して心のケアに取り組まれている。
(推薦者 中嶋富美子)
 
Ms. Yukiko Nishihara
(Born on February 11, 1933)
Nakano-ku, Tokyo
 
In 1978, Ms. Nishihara established the "Suicide Prevention Center-Osaka." Working with volunteers at the center, she has operated a 24-hour suicide prevention system that has doubtlessly saved hundreds of lives. In 1998 she opened a similar center in Tokyo. At the time of the Kobe Earthquake, she supported earthquake victims who had suffered the risk of solitary deaths, as well as volunteers suffering from their demanding rescue work. Nishihara has steadily devoted herself to the care of human hearts.
Recommended by Ms. Tomiko Nakajima.
 
 西原さんは、昭和53年1月に大阪自殺防止センターを設立した。電話相談を主体とし面接にも応じる、必要とあれば仲間と共に緊急出動もするという団体で、中核として活動した。センターでは、自殺をしようとする人の死にたい気持ちを受け止めるため、賛同者を募りボランティアの養成をして、24時間いつでも電話を受けられるよう備えた。
 断崖のそばから電話してきた人、包丁片手に電話してきた人もある一方、ガス自殺を計ろうとした人の家に急行し、病院へ連れていって、その人の家で一晩過ごすこともあった。また自殺者の家族から、なぜ止めてくれなかったかと責める電話がセンターにかかってくることもあった。そういった厳しい場面の対応も全て西原さんが引き受けた。
 平成7年の阪神淡路大震災では、西原さんは大阪YWCAと協力して「心のケア」部隊を編成し被災地に向かい現地責任者として二ヶ月間活動を続けた。仮設住宅での孤独死・自殺の危険がある被災者の話に耳を傾けるとともに、心身ともに疲れ果てたボランティアたちの話しを聞き、支え続けた。
 JR中央線などでの飛び込み自殺のニュースが東京から絶えず続くこと、日本の自殺率が26.0(註)という最悪の事態となったことなどに心を痛めた西原さんは、平成10年、東京に移ってもう一つ自殺防止センターを設立する決心をし、同年7月ゼロからの出発をした。「国際ビフレンダーズ自殺防止センター東京」は4年目を迎えてボランティアたちが育ち、着実に実績を上げている。自殺防止に西原さんが関わり始めてすでに30年近くに及ぶが、第3のセンター設立に向けての準備を進めるなど、献身的な活動がパワフルに続けられている。
 
(註)自殺率=自殺者÷人口×100,000
 
 
 
受賞の言葉
 いのちを大切にと願っている方々と共に、この度表彰を頂き、大変嬉しく光栄に存じます。日本の自殺をくい止めるために、世界の仲間の協力を得て自殺防止を推進し、人として生きていける環境作りに努めたいと決意を新たにしています。







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