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4)Botika Binhi
 フィリピンでは各地域ごとに、botika binhiと呼ばれる薬の生活共同組合がある。この村に約1,100近くの家族が住んでいて、botika binhiに参加しているのは250家族ほど。参加しない理由は様々だが、考えられるのは「裕福だから参加する必要がない」「制度自体を疑っている」「子供、老人が家族にいないなどの理由で、薬をそれほど必要としない」など。94年から始まったが、その年は2,100ペソしか集まらなかった。現在は43,000ペソ集まっている。
 見学した薬局(民家にボランティアとしてやってもらっている)には、12種類の薬がおいてあった。内容はアセトアミノフェンなど非ピリン系解熱鎮痛薬2種類、抗生物質(数種類)、ビタミンC、サルブタモール(気管支拡張剤)、INH(抗結核薬)、メフェナム酸、下痢の薬。ヨード入りの塩などであった。
 
質疑応答:
質問「例えば、解熱剤を処方するとき、患者によっては出してはいけない薬もありますが、その辺は大丈夫ですか」
答え「処方箋に従っているから大丈夫です」
という曖昧な答え。処方箋を持たずにやってきた患者は大丈夫なのだろうか。
 
Botika Binhi
 
5)Central Elementary SchoolでTV 99Film Showing見学
 フィルムショーはJICAとフィリピン保健省(Department of Health:DOH)が推進している母子保健プロジェクトのひとつであり、このフィルムは公衆衛生について子供たちに知識を与える内容となっていた。
 我々が到着したときには、すでにフィルムショーは始まっており、子供たちが熱心にフィルムを見ているところであった。フィルムの内容は体の洗い方や、食事を作っているときに虫やねずみ?がいたり、飲み物のコップの中に虫がいたり、トイレの洗い方、ゴミの捨て方など。衛生面について教育する内容であった。シーンのところどころに笑わせる場面を取り込み、子供たちが飽きないような内容のフィルムであった。
 フィルムが終わると、市長のお話があり、私たちが紹介された。われらがリーダーの伊藤さんが挨拶をして、そのあと子供たちとお母さん方と一緒に写真を撮った後、バスに乗り、そこを去った。
(担当:鳥羽 肇)
 
6)Observation of Under 5 Clinic
 名前の通り、5歳未満を主な対象としたクリニック。医師のいる末端の施設で、barangayの上位にあると位置付けられる。スタッフは、医師1名・歯科医師1名・看護師4名・ボランティア6名に、唯一男性であったsanitarian(公衆衛生学者)から構成される。基本的にはbarangayからの紹介で来るが例外はある。行われていることは、体重測定・ワクチン接種・栄養指導・家族計画・母子保健など(registration→growth monitoring→anemia detection→assessment→nutrition→family planning→immunization→consultationというflow lineが実際には存在する)。母子保健においては、JICA提供の母子手帳(妊婦と子供の用紙がひとつになっている)を使っている。そして、患者の払うお金に関しては市が負担をしており、薬も含めて全て無料。ただ、卵管結紮するときには300ペソを払ってもらう。なおこの施設は子供のみならず大人も診るが、我々が訪れた日には8人の乳幼児を診察していた。
 当施設は政府のもので、我々はそれらを観察することで公共の機関だけで医療が十分に行われていると考えてしまいそうだが、フィリピンにおいては私立が大きな役割を果たしている場合も多いという。4)で紹介したbotika binhiの存在を考えあわせると公共機関ではお金はかからないもののサービスの質が悪く、代わりに私立がお金はかかるものの良いサービスを提供している、と想像してもいいかもしれない。なおこの地域に限っていえば私立がないが、他の地域では公立機関で働いた時間の後に私立の病院で働く医師も多くいるということだ。
(担当:長崎 忠雄)
 
Central Elementary Schoolの子供たちと井上先生
 
8月15日 今日のひとこと
伊藤:フラメンコ仲間を発見!俺のブランクは8年ほどだが、体がセビジャーナスを覚えていた。なあーんだー。もっと早く言ってよ。
安藤:フィリピン料理のパターンがわかってきた。ミーティング中、部屋で爆睡してしまった。ごめんなさい・・・。
大森:泉さんの鑑識眼に男3人驚嘆!・・・恐れいりました。
千田:アルマ・アタ宣言という名の種は確実に発芽し、成長していた。「現場を知る」って、こういうことなんだ。
瀧村:マニラだけではわからない地方の様子を実感でき、IICAの活動も見直してしまいました。ミーティングも白熱する頃ですが、意見の異なる人こそ一目置いてみましょう。
長崎:自分に対して誇りをもっている人は素敵だな。
江崎:Botika Binhiの仕組みを立ち上げることは、簡単そうに見えて実はとてもとても難しい。必要性を感じた現地の人たちが自ら動き出せるように励ます活動の重要性を痛感する。
河合:フィリピンの国家予算にしめる保健衛生費は2%で多くは軍事費と聞いたけれど、一方JICAが莫大なお金を注ぎこんでいるって違和感を感じる。市長さんも国からの予算が少なすぎるって嘆いていたし。
馬場:終戦記念日であることに気づき、戦時中のフィリピンと日本との関係についても下勉強してくるべきであったと反省。
井上:8月15日か。日本を思い、広島を思い、ターラックの人のことを考えた。何も知らない自分が情けなかった。
斎藤:JICAのプロジェクトを現場で見れたのはとてもためになった。井上先生(先輩)にこういう所でのものの視点、考え方を教わり、たいへんためになった
須貝:疲れがたまってきた・・・。フィリピンの女性のパワーはすごい。
高田:農村の女性たち、頑張れ!
鳥羽:バスでの移動、Tarlac Provincial Hospital, Barangay, BB, Film Show, Under 5 Clinicと忙しい一日だった。今日の担当は私?みんな、助けてくれてありがとう!







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