日本財団 図書館


13:20〜14:10 「日本のNGOの役割と活動」
国際保健協力市民の会(SHARE)代表 本田 徹 先生
 
 国際保健の問題は海外ではもちろんのこと、国内にもある。例えば、移住労働者が抱えている医療問題である。
 NPO(NGO)は世代進化していくという前提に立って、最初はチャリタブルなことからはじまるが、そういう働きをしている内に問題意識が変化してきて、プロジェクトを現地に委ねていく。そして、地域住民の参加を獲得していくようになる。住民との活動の中で活動の手法、アプローチの仕方を見つけ、地域住民に主体的な指揮棒を渡していく。手法の面では、わかりやすく、参加しやすいものを考えていく。これにはPRA(Participatory Rural Appraisal)と呼ばれる手法がある。
 HIVが深刻な問題となっている地域では、出稼ぎ労働者や学生を相手に、参加型のワークショップを行い、「誰でもかかる可能性があること。安全といえる人がいないこと。」に自分で考え、気付いてもらう。この気付きが行動の変化にすぐに結びつくかは分からないが、HIVに対する患者への共感的理解などへつながっていく。このようにPRAは活用されている。一番問題なのは無関心になってしまうことである。
 
14:10〜15:30 フリーディスッカッション(Part1)−国際協力を中心に−
 
<座長> 国立国際医療センター国際医療協力局 局長 土居 眞 先生
  厚生労働省大臣官房国際課国際協力室 室長 岡本 浩二 先生
  国立国際医療センター国際医療協力局 派遣協力第二課課長 建野 正毅 先生
  国立国際医療センター国際医療協力局 計画課課長 猿田 克年 先生
  国立国際医療センター総合心療内科レジデント(フェローOG) 吉川 理子 先生
 
 開発途上国に共通する特徴は低い生活水準、低い生産性、高い人口増加率などである。その背景には人・物・金の不足や低い生活水準、女性や子供の地位が弱いなどが挙げられる。途上国で開発協力をするにはこういった問題を解決していかなくてはならない。援助の基本理念としては、人道的見地から、国際社会の相互的依存関係の認識、環境の保全、自助努力の支援が挙げられる。
 日本のODAが目指しているのは自助努カサポート型の国際協力である。つまり、魚を持っていくよりも、釣りの仕方を教える方法だ。援助を受け入れる側が、自助努力に基づいて開発できるようにすることを目指している。
 国際医療協力局ではJICAなどの国際・国内関係機関や団体の要請に基づいて、医療協力実施の企画、調整と派遣業務を遂行している。業務は、海外に行って国際保健の業務をやるのがメインだが、そのために必要な調査研究や、海外から来る研修生のサポートを行っている。
 国際協力の仕事に就くには何よりもやる気と協調性が必要である。そして、リーダーになれるかどうかということも重要である。医師だけでなく、事務、看護師、など様々な人材をまとめ、管理して指導できなければならない。
 
15:45〜17:00 フリーディスカッション(Part2)−公衆衛生活動を中心に−
 
<座長> 厚生労働省大臣官房厚生科学課 課長 遠藤  明 先生
 
〜学生時代、何をすべきか、何をすべきだったか〜
岡本先生 「自信を持ってコミュニケーションを取ること。語学の問題も含めて。自分の意見をきちんと伝えられる能力を養う。伝える中身をきちんとプレゼンテーションできる能力を磨く。外にでると、日本の様々なことを聞かれるが、日本のルーツをおさえていないといけない。日本の文化、社会情勢、伝統芸能、歴史、文学などである。日本の間違ったイメージが伝わってしまうことがあるから。マネージメントのことなどは独学でやっていくしかないが、問題に直面したときにしか身に付かないのではないかなと思う。」

遠藤先生 「今思えば、役に立ったことは強いられてやったことではないかと思う。ハーバードのMPHをとったときに、簿記の授業があったが、これは経理の物事を考えるときに役に立っている。今の若い人たちは答えのある問題を解くのが非常に得意である。答えのない問題に対して、問題をどうとらえるのか。答えのない問いに取り組んでいくことが大切である。」

建野先生 「私はシュバイツアー型で入っていったが、あれはむなしいと感じた。臨床をやっていると、虚しくなる時が10年くらいでやってくる。私が臨床医から国際保健にやってきたのはそういう時期で、もっとmassを対象にするようになった。悔しいのは国際機関の人たちと渡り合えるほどの語学力や知識がないことだ。日本には優れた点はたくさんあるのに日本を知らなすぎる。」

猿田先生 「その年齢でやることがあると思う。今は国家試験、卒後は臨床研修がやるべきことだ。一つ一つの症例を大切にしていってもらいたい。二度と見ない患者、二度とできない課題に当たるだろうから。目の前にあることから、一つずつ丁寧に勉強していったらいいのではないかと思う。毎日毎日触れることをきっかけとして自分で勉強し、自分を豊かにしていって欲しい。その時その時にやるべきことを一つ一つやる。」

土居先生 「人間を好きになること。そうすれば様々な問題が見えてくる。京大の公衆衛生の西尾先生が私の恩師なのですが、その先生が言っていたのは、『一年に一冊、なんでもいいから書きなさい。』書くということで、自分と向き合い、弱いところを見つけ、補っていくことが大事。また、あくまでも公衆衛生を頭の片隅に必ず置いておいてください。」
 
18:00〜 懇親会 (於 国際医療センター地下食堂)
 多くの先生方やフェローOBの方々が出席してくださり、貴重なお話を聞くことができました。今日行われた講演について先生方に直接質問することができて、さらに理解を深めることができました。また、他大学のみんなとも交流できとても楽しい時間でした。
(担当:加藤 裕子)
 
8月8日 今日のひとこと
伊藤:リーダーを引き受けちゃったー。大人しく下向いてたのになー。推薦されたら引き下がれないもんな。いっちょやりますか。
安藤:大谷先生が、「マニラに行く11人の人たち(本当は14人)は皆さんの代表選手として・・・」とおっしゃったのは、ワールドカップの影響だろうか・・・?
大森:Let's make it a good team!
千田:各々の熱が混ざりあうだけで、とてつもなく強大なパワーが生まれた気がした。
瀧村:豊かな日本人が国際協力に携わる理由の一つは「光栄な義務」とのお話。自分の中にあった漠然としたものがすっきりしました。国内研修には上着を持ってきましょう。
長崎:スーツ以外の服装も多かった会場でした。
江崎:みんなと出会えて、これからの10日間に胸が高鳴る・・・ワクワク。
河合:二日くらいに分けてじっくりと聞いてみたい先生方のお話。国立国際医療センターに入っても海外へ行くチャンスはベテランの先生に限られるのかぁと少しがっかり。
馬場:初日から既にお互いの強い個性を生かしながらまとまることのできるグループになりそうないい予感!
井上:みんなとってもfriendlyで楽しそう。よかった。
斎藤:スゴイ先生の話はとても、おもしろく、ためになった。
須貝:このみんなとなら、きっと楽しい旅になる!!
高田:国際医療センターの国際医療協力局への就職方法がわかって良かった。
ツアーメンバーは、良い人ばかりで、楽しい旅になりそうだ。
鳥羽:今日はみんなと初顔合わせ・・・どんな研修になるんだろう?







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION