日本財団 図書館


日中笹川医学奨学金制度
 本制度は日中両国人民の医学分野における友好と協力を促進させるために1986年に設立されたもので、中国の保健医療に従事する専門家を10年計画で1000名わが国に招聘し、日本の医療機関にて各自の研究を深め研修を通じて人材の育成と相互理解を深めてもらい、併せて医学、歯学、薬学、看護学など広範囲にわたる学術と技術の交流と協力を推進し、両国における医学水準の向上に寄与することを目的とした事業であります。
 本制度の実施に際しては、中国衛生部が来日する研究生の選考をし、(財)日中医学協会が現地における日本語研修時の講師派遣、研究先の選定、研究生の来日から帰国までの生活並びに研究に関する諸受け入れ業務のすべてを行い、そして(財)笹川記念保健協力財団がそれらの一切の資金を日本財団の助成金を受けて提供する分担にて運営されております。
 当初計画された10年が経過し、日本側の多くの指導責任者からも来日研究生の優秀性と熱意が確認されるとともに、中国に帰国した研究生は特に昇進も早く、中国医学界においては中枢の地位を占めつつあり、教授や病院長など指導的立場になるものが増え、併せて学位取得者も多くなってまいりました。そのため事業成果は予想以上のものとなりましたことから、中国側が更に10年の延長を要請してまいりました。関係者間で協議の結果、本制度を2008年まで更に10年の継続が決り、今後10年間は毎年80名ずつ受け入れることとなり、都合20年で1800名の研究生を受け入れる世紀をまたぐ大奨学事業に発展してきております。
 
 本制度は現地での来日前5ヶ月の英語並びに日本語研修と、年間100名が1年間日本各地の大学や研究所等医療機関にて研究生活を送る制度が根幹をなしていますが、帰国2年経過した研究生の中から優秀者を選抜し再度1年間招聘して各自の研究を更に深めてもらう特別研究者招聘制度、また、全帰国生を対象として北京に事務所を設け情報の交換を行う新聞の発刊等を行う同学会活動等が追加され、年々事業の充実化が進められております。
 
 過去15年間で1,385名の研究生を受け入れましたが、その内容を振り返ってみますと、男女別では65%が男性で、35%が女性となり、平均年齢は33.6歳となっております。事業の初期には40歳を越える高齢者も見られましたが、近年では若い人が増え、20代後半の研究生も見られるようになってきました。分野別では医学が1,152名で圧倒的多数を占め、薬学が105名、歯学が59名、看護が44名となりその他医学医療分野における管理・出版・教育関係の研究生が25名となっております。受け入れ大学別では国立大学が657校で48%を占め、以下国立機関124ヶ所(9%)、公立大学97校(7%)、公立機関45ヶ所(3%)、私立大学429校(31%)、私立機関33ヶ所(2%)となり、東京大学の80名を筆頭にして、京都大学、東北大学、大阪大学、東京女子医科大学の順になっております。
 また、中国側は北京市の他、北部の遼寧省や吉林省からの派遣生が多いものの、中国全土の省・自治区から来日しており、受け入れ地も北海道から沖縄までほぼ全都道府県にわたっており、文字通り日中両国の国をあげての事業となりました。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION