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9. 高速鉄道を中心とする新たな公共交通を目指して
9−1 計画の具体化に向けての課題
 近畿圏においては、関西国際空港二期工事や神戸空港、関西文化学術研究都市第二ステージ、大阪湾ベイエリア開発等の大規模プロジェクトが進められている中において、都市の魅力向上と国際競争力を高めること等が新たな国家的課題とされ、京都駅南地域、大阪駅・御堂筋周辺地域、神戸三宮駅南地域等をはじめとする「都市再生」事業に取り組むこととなった。
 一方、鉄道については、輸送需要増大に伴う混雑緩和や速達性向上等輸送力増強による利便性向上や都市機能強化等に大きな役割を果たしてきたが、2005年頃をピークとする人口減少社会を間近に控え、新たな投資は困難な状況となっており、また、高齢化の進展に伴うバリアフリー化の要請や地球環境問題への関心が高まりをみせるなど、交通を取り巻く社会・経済状況は構造的・質的に大きく変容している。
 このような状況を踏まえ、今後は、都市再生支援等近畿圏経済の活力向上に資する社会的意義の大きい路線整備に重点を置く中で、ハード・ソフト全般のバリアフリー化については公的負担のあり方、また、答申第10号路線の未整備要因の一つである整備・運営主体のあり方や上下分離方式によるインフラ公有化も視野に入れた検討が必要である。このためには、今後の社会・経済構造を見据えた新たな「政策目標」とすべき公共交通のサービス水準を明確化した、国民的合意に基づく総合的な交通体系ビジョンを早期に策定することが必要である。
 
9−2 関係機関が取り組むべき方向
 近畿圏の公共交通に求められる最大の課題は「シームレス化の実現」である。このため、関係機関においては、今後とも上下分離方式等による路線延伸や他モードとの連携強化等を引き続き促進するとともに、合わせて平成15年度から順次導入される「ICカード」の早期導入及び利用者利便の向上に繋げるための効果的活用方策の早急確立を図ることが必要である。
 一方、国及び地方公共団体の財政状況や各交通事業者の経営環境は厳しい現状にあるが、今後における社会環境を踏まえると、公共交通の更なる利便性向上を図ることが地球環境問題の改善や地域経済の発展に繋がるものと確信されることから、国及び地方自治体は、公的財源の重点配分や公共事業の効率化・重点化等を更に進める中で補助制度の拡充や補助対象の拡大等、一方、各交通事業者については、運営コストの削減やカードのIC化による多様な運賃設定、また、既存ストックの高度利用や輸送サービスの競争を通じた新たな利便性向上策の開拓に鋭意努力することが重要である。また、輸送需要の顕在化等のためには、徹底した利用者主体の視点に立った良質な輸送サービスを提供することが重要であることから、国、地方自治体、各交通事業者は、情報発信等による利用環境の整備、最小のインフラ整備で最大の利用者利便を挙げ得るような事業性の高い様々な利用促進方策について、引き続いて関係者が手を携え、意欲的に取り組むことが必要である。







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