日本財団 図書館


 以上より、自由目的の将来生成原単位については、以下のようにまとめられる。
 
個人属性 有意差 時系列 将来の動向・政策上考慮すべき事項 カテゴリ要否
男女間で大きな差がある。 男性60歳以上、女性35歳以上について原単位が上昇する傾向にある。 余暇時間の増加、生活の質の向上等により、女性と男性高齢層の自由トリップの上昇は今後も増えることが考えられる。
年齢 男性で60歳以上、女性で30歳以上で大きな値となっている。   高齢者の外出機会の増加が考えられる。
免許 免許保有者の原単位が大きくなっている。 免許保有者が上昇している。 今後も免許保有者は増加することが考えられる。
就業 就業・非就業で自由目的生成量に大きな差がある。 平成2年→12年でいずれの属性においても生成原単位は上昇している。 就業率の変化により、生成交通量に変化が予想される。
 
 上記より、自由目的の生成原単位は、性別・年齢別(5歳階級)・免許保有有無別に設定するものとする。将来の原単位は、自由トリップが今後も一定増大することが予想されるが、一定収束に向かう可能性も考慮し、H12年の生成原単位で今後推移するものと仮定する。
 なお、免許保有率の将来値は、2000年における5歳階級別男女別免許保有率を2020年にスライドさせる(免許返納は考慮しない)ものとする。(若年層の免許保有率はほぼ90%を越えていることから、現況の年齢階層別保有率のまま推移するとする)また、就業・非就業による生成原単位の有意な差があるのは明らかであり、将来の就業率の変化(=就業人口の変化)の影響が反映される形が望ましい。したがって、将来の自由目的の生成交通量は、性・年齢・免許有無の他、就業/非就業のカテゴリにおいて行うものとする。
 
<参考>免許保有率の推移(パーソントリップ調査拡大による)
 
(拡大画面:50KB)
図 6−4−12   性別年齢別免許保有率の推移(PT調査による)
 
<参考>自由目的における生成原単位の推移と将来予測(5歳階級別)
 
(拡大画面:390KB)
 
d)業務
 業務目的については、就業人口ベースの生成原単位を用いる。
■ 業務目的は男性の生成原単位が平成2年0.8538→平成12年0.7512、女性が同じく0.4527→0.3500となり、10年間で大きく減少している。原因としては、IT技術の発達や、近年では景気の低迷により平成2年頃のバブル期にくらべて経済活動が鈍化し、営業や打ち合わせ回数等が減っているなどの要因が考えられる。
 
表 6−4−4 生成原単位の推移(業務)
  男性   女性  
年次 S55 H02 H12 S55 H02 H12
原単位 0.9094 0.8538 0.7512 0.5661 0.4527 0.3500
 
■ 年齢別に見ると、男性については特に20〜44歳の若年・中年層において大きく原単位が減少しており、女性については全体的に減少傾向となっている。この原因として、特に若年層についてはIT技術の発達により打ち合わせ・会議の代替としてE−mailやインターネットが活用されるようになったことが背景として考えられる。
 
(拡大画面:94KB)
図 6−4−13   性別年齢別生成原単位の推移(業務)
 
■ 免許保有・非保有別では、特に男性において免許保有時の業務目的生成原単位が特に大きいほか、女性についても免許保有時の原単位が大きくなる傾向にある。
 
(拡大画面:83KB)
図 6−4−14   性別年齢別免許保有別生成原単位(業務、H12年)
 
 以上より、性別、年齢、免許保有有無のすべてについて有意差が認められる。まとめると以下の通りである。
 
個人属性 有意差 時系列 将来の動向・政策上考慮すべき事項 カテゴリ要否
男女間で大きな差がある。 全体的に減少傾向、特に若年層の原単位が大きく減少している。 今後もIT技術の進展が見込めることから原単位の減少要因となることが考えられる。一方、業務交通は経済活動と密接に関係するため、景気の動向にも影響されやすいと考えられる。
年齢 若年層ほど原単位は小さい。    
免許 免許保有者の原単位が大きくなっている。 免許保有者が上昇している。  
 
 近年IT化によりE−mail、インターネットの活用またSOHOなどにより打ち合わせ・会議・営業活動等の減少が予想される。また、不況の影響で経済活動の停滞などの要因により業務交通が減少しているが、今後の経済活動の動向・景気回復の度合いによっては、業務目的の生成量についても回復の可能性がある。
 したがって、業務目的の就業人口ベースの生成原単位は、性別・年齢階層別(5歳階級)・免許保有有無別の原単位が過去10年平均(H2→12年)のまま将来も一定推移するものと仮定して、予測するものとする。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION