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2−2 鉄道需要の影響要因に関する定量的分析
 本節では、鉄道需要に影響を与える要因として、大きく分けて3つの視点から定量的な考察を行い、鉄道需要が低迷している要因分析と今後の検討課題に関する考察を行う。
 
(1)社会経済情勢が鉄道需要に与える影響
 分析視点:総発生交通量の増減要因を探る
→常住人口増減、就業率(就従人口)増減、少子高齢化と生産年齢人口減などの人口指標、また都心回帰の傾向や人口の外延化などの社会移動の状況を探る。それを踏まえて、目的別(通勤・通学・自由・業務)の発生交通量の推移との関係を考察する。
 
(2)交通機関利用特性が鉄道需要に与える影響
 分析視点:交通機関利用を取り巻く各要因の変化と鉄道需要への影響を探る。
→免許や自動車の保有率、道路や鉄道整備量など交通機関利用をとりまく各要因と、手段別交通量の関係を探り、鉄道需要との関係について考察する。
 
(3)土地利用の変化が鉄道需要に与える影響
 分析視点:土地利用の変化に伴うODパターンの変化をとらえる
→OD分布が変化し、自動車に有利な土地利用構成になったことが考えられることから、特に企業立地による従業人口の増加や大規模商業施設の立地などによる鉄道・自動車のOD交通量の変化を捉える。
 
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(1)社会情勢の変化が需要に与える影響
a)常住人口・就業人口の伸びの低下
○総発生量の変化
 第4回京阪神都市圏パーソントリップ調査によると平成12年の総トリップ数は、43,540千トリップ数で10年前と比べ0.5%増と10年前とほぼ同数であり、増加率は人口増加率を下回っている。
 
表 2−2−1 京阪神都市圏のトリップ数と常住人口の推移
  トリップ数
(千トリップ/日)
増加率 夜間人口(千人) 増加率
H2 43,332   17766  
H12 43,540 0.5%増 18217 2.5%増
 
注)第3回調査圏域内の集計
資料:第3回、第4回京阪神都市圏パーソントリップ調査、国勢調査
 
表 2−2−2 1人1日当りの平均トリップ数の推移
  全体
H2 2.57
H12 2.51
増減量 -0.06
注)第3回調査圏域内の集計
資料:第3回、第4回京阪神都市圏パーソントリップ調査
 
 1人1日あたりの平均トリップ数も、2.57から2.51トリップへと減少している。この要因として1日当たりの平均トリップ数が少ない高齢者(65歳以上)が増加していることが挙げられている。
 
○就業者数の変化
 近畿2府4県の就業者数は、平成7年の約1,013万人をピークに大きく減少し、平成12年時点では平成2年とほぼ同等の約983万人となっている。
 
図 2−2−1   就業者数の推移(近畿)
資料:国勢調査
 
 年齢別就業率をみると、25歳〜59歳までの就業率が高いことから、この層が就業者を構成する中心的な役割を果たしているものと考えられる。
 この層が含まれる生産年齢人口(15〜64歳)は、少子・高齢化の影響を受けており、就業者が減少する要因の一つと考えられる。また、近年では20〜24歳代の就業率が大きく低下しており、若年層の就業率悪化も減少要因の1つと考えられる。
 
表 2−2−3 就業率の推移(近畿)
  H2 H7 H12
総数 48.1 49.2 47.2
15〜19歳 16.5 15.2 13.8
20〜24 69.1 66.6 60.2
25〜29 73.0 73.9 72.4
30〜34 68.4 68.7 68.1
35〜39 72.8 72.2 71.0
40〜44 76.9 76.1 75.6
45〜49 78.3 77.2 76.1
50〜54 75.3 75.6 74.0
55〜59 67.5 69.6 68.2
60〜64 48.8 49.5 46.5
65〜69 34.4 36.1 31.3
70〜74 22.4 24.1 20.8
75〜79 14.4 14.9 13.5
80〜84 8.5 9.0 8.0
85歳以上 4.4 4.4 4.0
注)年齢不詳除く
資料:国勢調査
 
○就業者数の変化による影響
 主な年齢層である生産年齢人口が年々減少している上に、近年の経済情勢の悪化等により就業者数は平成2年程度に落ち込んでいる。
 その結果、通勤需要である就業者の絶対数が減少するため、通勤需要が低下することになる。また、生産年齢人口層の就業者数は、平成2年時点より減少しており、絶対数の減少が伺える。
 
表 2−2−4 年齢3区分別就業者数の推移
  H2 H7 H12 H12/H2 H12/H7
15〜64歳(千人) 9,279 9,492 9,154 0.99 0.96
65歳以上(千人) 496 641 674 1.36 1.05
計(千人) 9,775 10,133 9,828 1.01 0.97
資料:国勢調査
 
 大都市交通センサスより地域間交通流動をみると、大阪市関連の流動が主であるが、神戸市・京都市中心部への流動もみられる。
 平成7年時と比較すると、殆どの地域間で流動が減少しており、特に大阪市周辺市町から大阪市への流入が減少している。このことから平成7年時と比べ大幅に減少した就業者数が鉄道需要に影響を与えていると考えられる。
 
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図 2−2−2   地域間交通流動の変化(平成7年→平成12年)
資料:平成12年大都市交通センサス







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