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船のしくみ
船が水に浮く理由
 みなさんは、浮力(ふりょく)について知っていますか?水の中の物体には、「その物体が排除(はいじょ)した水の重さ(お湯がいっぱいにたまった湯ぶねに入ったときにあふれる水の量=体積のことです)」に等しい(ひとしい)浮力がはたらきます。このとき、同時に重力(じゅうりょく)もはたらいて、この原理を「アルキメデスの法則」と呼びます。理科の授業で聞いたことがあるかもしれませんね。
 
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 今、ここに1kgの鉄の球があるとします。その体積は約127cm3です。これを水の中に入れると、そこには1kgの重力と約0.127kgの浮力がはたらきます。そのとき鉄球にかかる力は、重力の方が大きいので、鉄球は沈んで(しずんで)しまいます。ところが、この鉄球をバスケットボールくらいの大きさにふくらませるとどうでしょう。なんと、中に2kgの砂を入れても半分ほどが水面に出てくるのです。体積が増えたことで、重力よりも大きな「浮力」を得られたからです。このような原理を応用して、船は、船体を大きくすることで水面下の体積を増やし、重いものを運べるようになりました。
 
客船のエンジンはどんなもの?
 昔は、石炭などを燃やして、その蒸気(じょうき)の力で動かす「蒸気タービン」が一般的(いっぱんてき)でしたが、今ではほとんどが、エンジンの中で燃料を爆発的(ばくはつてき)に燃焼させて力を出す「ディーゼル機関」になりました。その中でも最近は、大型のディーゼル機関(きかん)でプロペラを直接に回す方法でなく、中型のディーゼル機関をいくつか用いて電気を起こし、電動モーターで「スクリュー・プロペラ」と呼ばれるものを回転させています。この方式は「ディーゼル・エレクトリック(電気推進(でんきすいしん))方式」といわれています。
 ちなみに「ふじ丸」もディーゼル・エレクトリック(電気推進)方式で動いています。
 
客船の電力のもとは
 船の電気は、船を動かすエンジンのディーゼル機関と同じように、「ディーゼル発電機」によってつくられています。そのほかに、プロペラの回転を使って発電させる「軸発電装置(じくはつでんそうち)」というものもあります。これらの発電機は、船自体に備わって(そなわって)いるので、船が停泊(ていはく)(止まっている)していても、電力を供給することができます。
 ちなみに「ふじ丸」には、ディーゼル発電機6機と軸発電機2機が備わっています。
 
 
水はどうしているの?
 昔は、出港するときにタンクに大量の水をため、シャワーには雨を利用していました。最近は、「造水機(ぞうすいき)」というもので、海水を蒸発(じょうはつ)させたり、水分だけを通すシートに海水を通して真水をつくっています。しかし、それでも船上では水に限りがあるので、みなさんで協力して節約をすることが大切です。
 ちなみに「ふじ丸」では、一日に50トンの真水がつくられます。
 
船は前にしか進めないの?
 船は前にしか進むことができないのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。現在は、ふじ丸をはじめ、ほとんどの客船に「サイド・スラスター」と呼ばれる装置(そうち)がついています。船の底の部分に横向きのトンネルがあって、その中に電動ブロペラが付いています。プロペラを回すと横向きの水流が起こって推力(すいりょく)がはたらくので、船は横に進むことができます。
 ちなみに「ふじ丸」は「サイド・スラスター」を船の前の方に装備しているので、「バウ・スラスター」と呼びます。
 ※船の前方部分を「バウ」、後方部分を「スターン」と呼ぶ。
 
 
トイレはどんなシステムになっているの?
 船内のトイレから出る汚物(おぶつ)は、ろ過して水だけを海に排出する方法と、帰港した時に陸に揚げて(あげて)、陸上で処理をする方法があります。
 ちなみに「ふじ丸」では、塩素(えんそ)で殺菌処理(さっきんしょり)をして海に排出しています。
 
客船のプールが小さい理由
 客船のプールがあまり大きくない理由は、船が揺れる(ゆれる)ことと関係しています。航海中の船はどうしても揺れるものです。そのとき、船の揺れとプールの水の揺れが一致(いっち)をすると、「同調(どうちょう)(共振(きょうしん))現象(げんしょう)」というものが起こって、プールの水が大暴れ(あばれ)してしまいます。ちなみにお風呂も同じですから入浴(にゅうよく)するときは注意をしてくださいね。
 このような理由から、船のプールは危険を避けて(さけて)小さくつくられています。でも、船の上にプールがあるだけでも十分ですね。







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