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海の生物と環境問題(かんきょうもんだい)
海の生物について
 日本は、国土は狭い(せまい)とはいえ、その周りには北海道の流氷(りゅうひょう)の海から、沖縄に広がるサンゴ礁の海まで様々な海があります。海岸線も33,889kmと世界有数(ゆうすう)の長さです。
 そのような日本の海には、干潟や砂浜、岩礁(がんしょう)やサンゴ礁、外洋、深海など色々な環境がそろっています。そして、今回みなさんが航海をする伊豆諸島(いずしょとう)と小笠原諸島の海は、世界でも、海洋の生物がとても豊かな場所として有名です。
 
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干潟
 内湾の河口あたりに、川から運ばれてきた土砂(どしゃ)が、長い年月をかけて堆積(たいせき)してできた砂泥地(さでいち)で、干潮(かんちょう)の時に見えるものが干潟です。干潟の砂泥は、きわめて豊富な栄養塩(えいようえん)や有機物(ゆうきぶつ)をふくんでいます。
 
アマモ場
 河口や内湾の海底に、種子植物(しゅししょくぶつ)の海草であるアマモが一面に茂って(しげって)いるところをいいます。植物プランクトンや動物プランクトン、無脊椎動物(むせきついどうぶつ)や魚など、さまざまな生命を育んでいます。
 
海浜
 潮(しお)がもっとも引いた時の海と陸の境界線である低潮線(ていちょうせん)と、満潮の時に波が打ち上げて波浪(はろう)がおよぶ、陸の一番上の限界との間をいいます。特に砂におおわれた、波打ち際(なみうちぎわ)の平たんな低地のことを砂浜と呼んでいます。
 
磯(いそ)・岩礁(がんしょう)
 岩や石の多い波打ち際が磯です。岩礁は、波の荒い(あらい)沖の方で、海中にかくれている暗礁(あんしょう)や大きな岩、水面からわずかに出ている岩のことを指します。
 
潮だまり(タイドプール)
 潮の引いた時に、岩場の海岸などで窪み(くぼみ)に残っている水たまりのことをいいます。
 
黒潮
 世界でも屈指(くっし)の大きな暖流(だんりゅう)で、北赤道海流(きたせきどうかいりゅう)に発し、フィリピンの東岸を北上して日本列島の南側を東へ向かって進んでいきます。海流の幅(はば)は100km〜200kmもあり、その速度は1.5〜3ノット(時速約3km弱〜6km弱)になります。冬は八丈島(はちじょうじま)の南側を、夏は主に、三宅島(みやけじま)と御蔵島(みくらじま)の間を流れますが、水温の低い冷水塊(れいすいかい)の影響などを受けて大きく蛇行(だこう)することがあります。
 
サンゴ礁
 サンゴ礁は、造礁サンゴ(ぞうしょうさんご)と呼ばれる生物や、石灰分(せっかいぶん)を分泌(ぶんぴつ)する生物の遺骸(いがい)が厚く積み(つみ)重なってできたものです。造礁サンゴは、褐虫藻(かっちゅうそう)と呼ばれる藻類(そうるい)が共生させていて、それらが光合成でつくる栄養分をもらって成長しています。サンゴ礁は、海に溶け込んだ二酸化炭素を取り込んで酵素(こうそ)を発生するので、海の熱帯雨林(ねったいうりん)とも呼ばれています。
 
外洋
 湾や陸地に囲まれている内海(ないかい)に対して、陸地の外側にある海のことをいいます。
 
深海
 海面から200m以上の深さをもつところです。太陽の光はほとんど届かないので、植物は光合成を行いません。
 
海鳥について
アホウドリ ・・・ short-tailed albatross 全長91cm、つばさの幅が2.1メートルにもなる大きな海鳥。絶滅の危機にありましたが研究者の努力で徐々に増えてきました。鳥島で繁殖しています。
クロアシアホウドリ ・・・ black-footed albatross 全長78cm、つばさの幅が2メートルで、全体がこげ茶色をしています。小笠原諸島や鳥島で繁殖しています。
コアホウドリ ・・・ laysan albatross 全長81cm、つばさの幅2メートル。せなかとつばさの上面、尾が黒色で、ほかは白色です。小笠原の一部とハワイのミッドウェイ島で繁殖しています。
オオミズナギドリ ・・・ streaked shearwater 全長49cm、体の上面は褐色で下面は白色です。冬はオーストラリアで過ごし、夏日本近海に繁殖のため渡ってきます。
オナガミズナギドリ ・・・ wedge-tailed shearwater 全長39cm、尾は長くてくさび型をしています。小笠原諸島や硫黄島で繁殖します。
シロハラミズナギドリ ・・・ bonin petrel 全長31cm、翼の上面は灰色に黒のM字のもようがでます。つばさの下面は白くて斜めの黒線があり、小笠原諸島や硫黄島で繁殖します。
 
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ウミネコ ・・・ black-tailed gull 全長46cm、背やつばさの上面は灰色で、尾のつけ根は白く、先は黒色です。
カンムリウミスズメ ・・・ japanese murrelet 全長24cm、夏羽では頭の後ろにかざり羽がでます。三宅島の属島である大野原島で繁殖します。
セグロアジサシ ・・・ sooty tern 全長40cm、頭上から尾まで上面は黒かっ色で、尾の外側の体の下面は白色です。小笠原諸島からフィリピンで繁殖します。
カツオドリ ・・・ brown booby 全長73cm、くちばしは太くてとがり、尾もとがっています。背中とつばさの内側の周りは黒かっ色で、魚を発見すると急降下して水に突入してつかまえます。亜熱帯及び熱帯の西部太平洋の島々で繁殖します。
アカアシカツオドリ ・・・ red-footed booby 全長70cm、体は白く、つばさの先だけ黒色をしています。目の回りは青く、足は赤色です。マリアナ諸島で繁殖します。
 
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海の環境問題について
 地球の表面積の70%を占める(しめる)海。平均水深も3,795mと、地球にある水のうち海が占める割合はなんと97.2%になります。広い海面と大量の水は、地球の気象(きしょう)や気候変動(きこうへんどう)、大気の成分にも大きな影響を与えていて、海が地球の環境を背負って(せおって)いるといっても言い過ぎではありません。
 今、全人類が地球温暖化(ちきゅうおんだんか)という大変な問題に直面しています。これから海はどのように変化をしていくのでしょうか。また、私たちは何をしなくてはいけないのでしょうか。
 
 先進国(せんしんこく)の近海(きんかい)では、この10年で環境意識が向上し、ビーチクリーンアップなどの活動の成果(せいか)があって、以前よりも美しさを取り戻してきています。しかし、海の汚染(おせん)は、海の色や浜辺のゴミの量など、見た目の美しさだけではなく、目に見えない形でもどんどんと進行しているのです。







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