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No.26/36
弁才船(べざいせん)のできるまで
 
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1. 造船は、海岸または川岸の造船に適した傾斜地(けいしゃち)をつき固め、輪木(りんぎ)を埋めこんでその上で行います。輪木とは、腐食(ふしょく)しにくいクスやクリなどで作られた造船台のことです。
 
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2. 航(かわら)(船底材)は胴航(どうがわら)と艫航(ともがわら)よりなり、胴航の先端に水押(みよし)(船首材)をつけ、艫航の後端には幅の広い戸立(とだて)(船尾板)取り付けます。
 
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3. 航に根棚(ねだな)を取り付け、上縁に下船梁(したふなばり)を入れて固めます。根棚は航とともに堅固な船底部を構成する重要な材なので、棚板のうちで最も厚く、航の厚さの半分(50〜70%)あまりもあります。
 
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4. 根棚に中棚(なかだな)を取り付け、上縁に中船梁(なかふなばり)を入れて横張力をもたせます。中棚は水押との結合部で垂直になるので、ねじれが大きく、そのため三の間あたりから前を2〜3階造りにしています。これを四通り(よとおり)といいます。
 
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5. 中棚に上棚(うわだな)を垂直に近いくらいに立てて取り付けます。上棚は最も長い棚板なので、500石積以上の船では船首側と船尾側にわけて、船体中央の腰当(こしあて)部で重ね継ぐのが通例です。
 
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6. 同程度の厚さの除棚(のけだな)(舷側板)(げんそくばん)を外側に重ねて補強した上棚の上部に横張力用の上船梁を入れ、舷外に突き出た上船梁の端を台(だい)(太い角材)で連結して船体強度を高めます。船体中央部に垂直に立つのが帆柱を支える筒と筒挟み(つつばさみ)です。
 
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7. 上棚の上縁にほぼ垂直にハギツケをはぎ合わせ、前部に合羽(かっぱ)(甲板)を張りつめます。18世紀中期に普及するハギツケと合羽(かっぱ)は、耐航性の向上と積載量の増大に大きな役割を果たしました。船首近くに垂直に立つのが、帆柱を倒したときの受けとなる舳車立(おもてしゃたつ)です。
 
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8. 台の上に垣立(かきたつ)を立てます。舳垣立(おもてかきたつ)は艫垣立(ともかきたつ)よりも低くし、胴の間の上部を取り外して、荷役を行うとともに、空船のときには伝馬船(てんまぶね)を搭載します。艫垣立の上に張る屋倉板(やぐらいた)は、操舵(そうだ)や操帆(そうはん)を行う作業甲板であると同時に乗組員の居住兼作業区画の屋根の役割を果たします。
 
9. 棚板の上に保護用の薄い包板(つつみいた)を張れば、船は完成します。船卸し(ふなおろし)のため船を手木(てぎ)で持ち上げ、下輪上面の上輪を取り外し水際まで敷き並べた修羅板(しゅらいた)(竪木の板)の上にカシのコロを多数おいて船をのせます。
 
10. 船から沖の碇(いかり)にしかけた滑車(かっしゃ)に綱をとって轆轤(ろくろ)でまきながら徐々に船を動かし、船卸しの前日に水際までひき出しておきます。船卸しの当日、船上から撒銭(まきぜに)・撒餅(まきもち)をふるまい、船を水に卸して船主と船頭以下の乗組員が乗って乗初めをおこないます。







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