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第3章 調査研究委員会
第1節 第1回委員会議事概要
1 開催日時及び場所
日時 平成14年6月28日(金)1400〜1545
場所 海洋船舶ビル8階第一会議室
 
2 議題
(1)平成14年度委員会実施計画(案)の承認
(2)MSC75の報告
(3)NAV48の対処方針(案)の検討
(4)平成14年度調査研究課題(案)の検討
(5)第一回調査課題(案)の検討
 
3 出席者(敬称略、括弧書きは代理)
(1)委員
今津 隼馬(委員長)、柳川 三郎、松本 宏之、湯本 宏、松村 泰材、
増田 恵(中川 欣三)、岡田 卓三、宮永 正二郎、小坂 智規
(2)関係官庁等
渡辺 直行(斎藤 知千)、松尾 龍介(丹羽 康之)、葛西 (松居 秀明)、
黒田 晃敏(福谷 幸資)、東原 健(辰巳 伸五)、高尾 留雄(古川 正樹)、
佐々木 稔(二ッ町 悟)、小山 亮一(三宅 真二)、
山根 祥生(松野 浩一郎)、山内 達行、山田 吉彦
(3)事務局
徳野 勤、松永 敬典、若林 邦芳
 
4 資料
(1) IR(02)1−1 平成14年度調査研究委員会名簿
(2) IR(02)1−2 2002年度国際海事機関会議日程
(3) IR(02)1−3 平成14年度委員会実施計画(案)
(4) IR(02)1−4 MSC75の審議概要報告
(5) IR(02)1−5 NAV48の対処方針(案)の検討
(6) IR(02)1−6 平成14年度調査研究課題(案)
(7) IR(02)1−7 平成14年度第一回調査 
「AISの国際的動向に関する調査・研究(案)」
 
5 議事概要(◎委員長、○委員、△関係官庁等、□事務局)
(1)委員長選出等
 事務局から、各委員及び関係官庁出席者等の紹介を行なった後、本年度委員会の委員長を、昨年同様、東京商船大学今津教授にお願いしたい旨提案、出席者全員の承認を得て委員長が選出された。以後、議事次第に則り委員長に議長をお願いし議事が進行された。
(2)議題1:平成14年度委員会実施計画(案)の承認
事務局から委員会資料IR(02)1−3(添付資料1)により、本年度から委員会の調査研究対象をセキュリティを含む海上安全に視野を広げること、本委員会として調査研究を積極的に行うことを説明した。
本件につき、以下のとおりの質疑応答の後、本計画案は承認された。
 海上安全にまで視野を広げるということだが、国土交通省の各委員会でも「海上安全」ということで各種調査を行っている。この委員会はあくまでも海難防止の流れで行うということと理解していいか。
 海難防止を軸としながらも、セキュリティを含む海上安全全般についてフォローしていきたいとの趣旨。ついては、今後実施に当たって関係の方々と十分調整していきたい。
 昨年度までは委員会は年3回だったが、本年度は4回行うという意味か?
 ご了解のとおり。従来から第二回委員会をNAVの会議終了後4・5ヶ月も経って開催され遅きに失していたこと、及び本年度から実施する調査成果を、なるべく早い時期に委員会で共有いたしたく、9月に1回増やし合計4回で行いたい。
(3)議題2:MSC75の報告
関係官庁及び事務局からIR(02)1−4により、MSC75における審議結果報告が行われた。
その後、以下のとおりの質疑応答があった。
 AISの早期導入に関し、G8では2004年12月からの導入という欧州案をとったということか。
 報道によればご了解のとおりと思われる。
 MOで主張していた2006年案を取り下げたということであろうか。
 ロシアは技術的に間に合わないため2006年を主張したものと理解している。
 セキュリティに関し、指定当局、認定保安機関について、各国はどこが担当するとの認識か?
 各国さまざまな対応が予想される。例えば米国については、コーストガードが全て担当するとの考え。今後国内でその方向で調整するとのこと。陸上のセキュリティ・オフィサーについても、コースト・ガードが訓練コースを開設して訓練を行う由。他方、ノルウェーについては、国内での調整がついていないため留保したもの。我が国についても関係官庁間で話し合いが持たれていると聞き及んでいる。
 避難港については法律委員会でも検討されているが、検討内容について詳細な情報を入手しているか。担当官庁はどこになるのか?
 本件については、救難、防災のどの分野で何を決めようとしているのか不明確な部分があり、関係省庁の間でも担当は決まっておらず、取合えずの取り纏めを国土交通省外航課が行っているのが現状。
(4)議題3:NAV48の対処方針(案)の検討
関係官庁からIR(02)1−5によりNAV48対処方針(案)の説明があった。
その後、以下のとおりの質疑応答があった。
 議題5については、今回は手続きを決める内容となるめか?
 本件については、救難そのものの話しなのか、防災の話しなのかはっきりしない段階。
 以前、錨をさんご礁のある場所では打ってはいけないという事情があって、その海域が避難の場所から外れたという話しがある。
 レーコンというものがあるが、あれは電波を受け取った後、増幅して送り返す機能はないのか?
 現在のレーダービーコンは、電波を受けたら、レーダービーコン自身で電波を発射する無線局である。
 今回のNAVでも小型船へのレーダーリフレクターの搭載が検討されるようだが、国内でも、レーダーリフレクターはアクティブであるべきか、パッシブであるべきかの議論がある。ちなみにアクティブは英国にしかないと聞いているが。
 海上保安庁でも英国からその機器を入手して研究したことがある。英国式は装置が簡単で電源も小さくて済み、例えばブイなどへの取付けも容易だが、期待していた効果が得られず日本では実用化には至っていない。
(5)議題4:平成14年度調査研究課題(案)の検討
事務局からIR(02)1−6(添付資料2)により研究課題(案)の説明があった。
その後、以下のとおりの質疑応答とご指摘をいただいた後、本案は了承された。
 インセンティブ制度は海難防止という観点から離れてしまう印象があるが。
 インセンティブ制度の普及により、結果的にサブスタンダード船の締め出しが行われた場合、安全への配慮の足りない管理下にあるサブスタンダード船の運航が海難の蓋然性を高めることとならないかとの問題意識。その点について、本委員会の委員の方々からもご指摘・ご教示いただきたい。
 サブスタンダード船に関する調査は具体的にどこの国への調査を考えているのか?
 欧州を考えているが、委員の方々からご教示願いたいと考える。
 サブスタンダード船への対応については、本年1月の運輸大臣会議でも取り上げられた問題。昨年4月から国土交通省と運輸政策研究所が本件に関する委員会を開催し、インセンティブ制度にも焦点が当てられ、特に、インセンティブなのか反インセンティブなのかという点が議論されていると承知している。その委員会からも情報収集しながら、違う切り口で調査してみてはどうか。
 2−3年前にAPECでも調査されており、豪が提出したレポートも参考となろう。
 AISについては、IMO/IALAの合同セミナーに出席した際には積極的な情報収集をお願いしたい。スウェーデンは複数の船舶にチャンネルを自動的に割り当てるシステムの特許を持っていると承知している。他方、AISについては、今後、陸上のAISシステム、海上保安庁の海上交通センターのようなVTS関係、それからブイなどの航路標識などにも設置されるようになると考えられるため、その点も踏まえ情報収集していただきたい。
 また、本日説明があったように、日本海難防止協会が、我々が関心のある事項について国際会議等を追いかけて調査し、それをこの委員会で発表するような機能を持つことは有意義であると考える。
 ここに掲げられた課題はどれも現在脚光を浴びている問題で、国際的な動向を調査することは意義がある。10年位前に本委員会で独自に調査研究した調査研究が、当時のIMOでも高く評価された実績もある。その意味からも本年度を始まりとして継続してこの種調査をしていくことは海事社会に貢献することになる。今後、積極的に実施して頂きたい。
 今年度以降、継続してこの委員会で調査研究のテーマを取り上げて行こうということで、委員の皆様からテーマそのものの提案、或いは切り口に対するご意見をお願いしたい。
 スウェーデンでの実態調査に関して。今現在AISは実績のないシステムでありながら、AISが衝突予防に非常に有効だとの印象を与え過ぎている感がある。スウェーデンのようなフィヨルドや小さな島々が散在する地理的状況がある場合には、島影に隠れている船の存在と動きを前広に認識できるという点についてはその有効性も理解できるが、一般海域でもAISは衝突予防に有効なのか、その実証結果が出ているのかを調査してきてほしい。
 更に、AISの制度はGPSの精度に依存しているが、誤差を有するGPS情報に基づいて衝突予防を判断するのは危険ではないかと感じている。
 外国船がAISを利用して我が国に入港する際、使用周波数をローカルに切り替えなくてはいけない。その点について運用上問題はないのか気になるところである。
 AIS使用周波数の切り替えを必要とする国は日本以外にどこがあるのか?米国は?
 承知している範囲でお答えすると、本年4月ぐらいに国土交通省から、地域周波数を使うキャリアをIMOに提出していると思う。MSC45においては、日本、豪、米は切り替えの可能性があるとされたが、その後、米、豪についてはCH70DSCで切り替え可能との見解が出た。結果的には日本しか残っていないかも知れない。
 周波数に関しては猶予期間があり、国際的に定められた周波数を使えない場合にはIMOに通報することとなっている。
 AIS導入に当たっては、ローカル周波数への切替えをミスした船についてはAISを使えないことが問題となる可能性がある。
 陸上サイドからのAISの利用として、NAV48でもバイナリーコードの提案がなされているが、これは主としてコーストガードがAISを使うときの利用法だと思う。その視点から、海難防止の視点でこの種提案をする国があれば情報収集しておく必要がある。
(6)議題5:平成14年度第一回調査「AISの国際的動向に関する調査・研究(案)の検討
事務局からIR(02)1−7により第一回調査(案)の説明があった。
その後、以下のとおりの質疑応答とご指摘をいただいた後、本案は了承された。
 本案の調査項目に、先ほど議題4のところで指摘のあった点を含むこと。
 プレジャーボート用として、ある種性能基準に則ったAIS機器を製作し搭載する由であるが、一般商船に対してはIMOの性能基準に合致したものを搭載している。これら性能基準の異なる機器を搭載した船が混在した状況が、AISの画面上に表示された場合、精度の異なるものが同時に表示されることは衝突予防の観点から問題ないのか懸念される。
 クラスBはスウェーデンでは普及しているのか。適用船と非適用船の2種類の船の利用者から情報収集できれば有益だ。
 欧州ではクラスBの普及を積極的に検討しているとの情報はあるが、書類のみで現物も見たことがない。その点の情報収集もお願いしたい。
 AISにおいてポジションを表示するため、船舶に搭載するAIS機器内にはGPSが内臓されているのか?
 システムのタイミングをとる目的でGPSは内臓されているが位置情報は出力していない。AIS機器は、アンテナを使用した独立したGPSから位置信号を入力している。
 AISはまだ本格的には導入されていない、夢の世界のシステムとの印象。陸上から情報を発信できたり、船側からも付加情報が発信できるという機能が強調されているが、船側の活用状況の点で、具体的に衝突防止のため誰がどのように使っているのか。例えばAISをモニターして前広に危険を察知して相手に呼びかけるといったものなのか、そういった利便性をよく調査してきてほしい。
 また、様々な情報をAISに入力して利用するということだが、出帆前にある種情報をマニュアルで入力しないと機能しないものも多いとすると、実は乗組員にとって結構な負担になるのかもしれない。船名、位置などを自動的に発信する点はいいが、例えば積荷情報を入れなければならないといった入力すべき情報が増えると、反対にそれに関わる時間が多くなるといったこともある。ユーザー側の問題点とか活用の実態について詳しく調べて来てほしい。
 97年にドイツとスウェーデンが合同でBAFEGISプロジェクトと呼ばれるAISの運用テストを実施した。冬場荒れるバルト海で、航行船舶に対し気象情報をこまめに提供するためにAISを使用したというもの。ドイツ側の報告書のみしかないため、スウェーデン側の報告書が入手できれば有益だ。
 事務局にあっては、各委員から指摘いただいた点について、今回、可能な範囲での調査をお願いする。
(7)その他
 事務局から、第2回委員会を9月5日(木)1400から本会議室で行いたい旨提案があり、了承された。







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