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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1994/06/15 朝日新聞朝刊
本音は「対話を」 北朝鮮のIAEA脱退表明 伊豆見元氏(視点)
 
 北朝鮮のIAEA脱退は、非常に計算された戦略だ。
 まず、NPTから脱退しないというギリギリの保険をかけた。保険が及ぶ範囲内で国際社会を刺激する。そして、自国に有利な譲歩を引き出す。北朝鮮指導部らしい、彼らなりの合理性がある作戦だ。指導部内に意見の対立があって強硬派が突如打ち出した暴挙、とは決して言えない。
 今回の脱退は、カーター元米大統領の北朝鮮訪問と切り離しては分析できない。カーター氏がこれから平壌に入るというタイミングを見計らって、北朝鮮はIAEAから脱退した。もし、クリントン政権が北朝鮮に対する従来の忍耐強い外交姿勢を変えるつもりであれば、カーター氏の訪朝はキャンセルされる。外交姿勢を変えないのであれば、予定通りカーター氏は訪朝する。北朝鮮には、そういう計算もあるのだろう。
 北朝鮮外務省の声明を分析すると、「わが方がNPTに復帰するか完全に脱退するかが決まるまで」とある。あいまいさが巧みに残されている。「国連制裁はわが方に対する宣戦布告と見なす。制裁と対話は両立できない」という部分も、額面通りには受け取れない。むしろ、対話を引き出したいという本音がにじんだと解釈すべきだろう。
 北朝鮮の対米外交戦略には二つの前提が感じられる。第一は、強く迫れば米国は動かせるという見方。第二は、米国の我慢強さは今後も続くという読み。こういう過信ともいえる前提によりかかっている限り、北朝鮮は今後も危険なゲームを続ける可能性が高い。
 十五日にカーター氏が平壌入りした場合、二つのシナリオが考えられる。一つは、カーター氏にも強硬な態度で臨み、米国の譲歩を引き出す。二つ目は、元米大統領に対し敬意を表する形を装って、あえて雅量を示し、戦争回避のために進んで北朝鮮が譲歩することだ。
 実際にはこの二つを折りまぜた条件を提示して、カーター氏がそれを米国に持ち帰ることになるだろう。
著者プロフィール
伊豆見 元 (いずみ はじめ)
1950年生まれ。
中央大学法学部卒業。上智大学大学院修了。
平和・安全保障研究所主任研究員、静岡県立大学助教授、米ハーバード大学客員研究員等を経て現在、静岡県立大学現代韓国朝鮮研究所センター所長。
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








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