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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2002年3月19日号 『世界週報』
米韓亀裂拡大を企図する北朝鮮
小此木政夫
 
 時として、歴史の流れは異常なほどに速い。特定の指導者に対して、それは過酷なまでに加速することがある。ほんの一年前まで、韓国の金大中大統領は確かに東アジアの国際政治を先導していた。二〇〇〇年六月の南北首脳会談に導かれて米朝和平が進展し、一〇月には当時のオルブライト国務長官が平壌を訪問したし、年末には、クリントン大統領の北朝鮮訪問まで検討されたのである。しかし、その金大中大統領が今や歴史の流れから取り残されようとしている。
◆ブッシュ政権誕生で「北」の戦略に狂い
 退任間際のクリントン大統領が南北和平プロセスに便乗し、米朝和平を進展させた時、北朝鮮の新しい対外戦略は成功しかけていた。もしクリントンが北朝鮮を訪問し、米国大統領選挙で民主党のゴア候補が当選すれば、昨年夏、金正日国防委員会委員長は間違いなくソウル訪問の約束を実行に移し、南北・米朝和平プロセスをさらに加速させたことだろう。そうなれば、耐え難いほどの代価を支払ってでも、孤立した日本はそれに追従せざるを得なかっただろう。
 しかし、フロリダ州の旧式の開票機に助けられて、共和党のブッシュ候補が当選した。また、ブッシュ新大統領はクリントン時代の「検証なき平和」を批判しつつ、従来の北朝鮮政策の全面的な再検討に着手した。ノーベル平和賞受賞の栄誉を背景に、昨年三月にワシントンを訪問した金大中大統領に対しても、ブッシュ大統領は金正日委員長に対する「懐疑」を率直に表明したのである。米国の新しい大統領を説得し、「太陽(包容)政策」に対する支持を取り付けようとした金大中大統領にとって、それは大きな打撃であった。
 さらに、同年六月六日に発表されたブッシュ大統領の政策声明も、予想以上に厳しいものであった。ブッシュ声明は確かに北朝鮮に対話再開を呼び掛けていたが、それは「検証可能な平和」を構築するための「包括交渉」であった。事実、そこでは、(1)「合意枠組み」(ジュネーブ合意)の履行改善(2)ミサイル開発の検証可能な規制と輸出の禁止(3)通常戦力の「脅威削減」――が要求されており、それに「積極的かつ適切に」応じた場合にのみ、北朝鮮は米国の好意的な措置を期待することができるのである。
 新しい北朝鮮政策の基本的な特徴は、合意のためのハードルを高く設定したまま、対話の呼び掛けを継続することである。巧妙な「放置」政策であるとみてもよい。
 
 
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