日本財団 図書館


◆計画経済は破綻 国民は自力で生きる
 しかし、新しい指導部が発足しても、経済が再建されるわけでもエネルギー、食糧危機が解消されるわけでもない。打開すべき対外的難問は山積している。北朝鮮経済は今、エネルギー、外貨、原材料のすべてが欠乏し、産業連関がほぼ壊滅した状況にある。一部の工場が動いていても、隣の工場は動かない、電力が供給されても、原材料がない―という状況では、経済計画を立案することさえできない。最高人民会議で経済計画、予算などに一言も触れられなかったのは、このような状況を反映したものだろう。
 計画経済が破綻した結果、北朝鮮では物々交換や闇経済が相当に力を得たと見られている。最近、強調されている“自力更生”にしても、かつては北朝鮮経済を対外的に依存させず自立する―自立的民族経済という意味で使われていたが、現在では産業連関が崩れたことを反映して軍部隊を含め、工場単位、職場単位であらゆる物を自己調達するという意味で使われている。各地で小型発電所を建設し、工場の庭先にとうもろこしを植え、アパートで豚を飼うなど原材料やエネルギーばかりでなく、食糧も自ら調達することが奨励されている。
 このような状況を打開するためには、対外関係を打開し外部の資源に依存するしかない。資本や技術を導入しない限り、経済の再建は不可能である。
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION