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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


毎日新聞朝刊 2002年9月1日
日朝、1年で三十数回の接触 外務省、米国と連携にも腐心−−首相訪朝決定の裏で…
 
 小泉純一郎首相訪朝の電撃発表から一夜明けた31日。外務省の田中均アジア大洋州局長は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)当局者と事前協議を行うため北京入りした。北京の日本大使館は「非公式協議だ」と場所や内容を一切明らかにしないが、北朝鮮外務省の局長級代表との間で、9月17日の小泉首相と金正日(キムジョンイル)総書記の会談に向けた接点を探った模様だ。田中氏は中国政府要人とも意見交換した。事前協議は1日も続けられる。一方、日本政府は既に平壌入りした北京の日本大使館職員を、連絡室員として滞在させる。トップ交渉の成否を懸け、双方が動き出した。
 6月末の南北交戦後の7月8日昼、ワシントンで日米両国の朝鮮半島担当者が会食した。田中氏は「北朝鮮の感触は悪くない」と日朝接触の進展ぶりを説明した。
 昨年9月から始まった日朝非公式折衝。北京や瀋陽、大連の中国各地、平壌を含め、接触は1年で実に三十数回にのぼったと、首相周辺は明かす。極秘に積み重ねた協議の中、日朝双方は今年5月には首脳会談の開催に原則的に合意する。
 このころ、田中氏は知り合いの学識経験者にこう漏らしていた。「日本が進みすぎると米国との関係が一番問題になる。日朝合意で日本から北朝鮮に流れるカネの使われ方を、米国は気にしているんだ」
 米国の「お墨付き」を得て首相訪朝を準備し、米朝対話を仲介する。これが外務省の描いた戦略だった。ワシントンでの会食後、日本側は平松賢司北東アジア課長が北朝鮮と極秘接触。「誠意を示せば米国は会談に応じる」と繰り返した。ほどなく北朝鮮は交戦への遺憾の意を表明した。
 「我々は米国からあらゆる軍事情報をもらっている。米国抜きの日朝改善はありえない」。非公式折衝を知る外務省幹部の一人はこう言い切った。
 ◆検証「首相訪朝」に舞台裏
 ◇「彼に会え」金大統領は言った
 ◇計画、数人の胸に−−ロシア、中国も後押し
 ■青瓦台
 「彼は変な人だと思われているようだが、決してそうではない。世界のいろんな情報はよく知っている。ぜひ、話をしてみてはどうか」
 今年3月22日、ソウルの青瓦台(大統領官邸)で行われた日韓首脳会談で、金大中(キムデジュン)大統領は小泉純一郎首相にこう語りかけた。彼とは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日(キムジョンイル)総書記のこと。大統領は言葉を継いだ。「あの国はすべて彼が決めるんだから」
 2月、2年以上抑留していた元日経記者を解放した北朝鮮は、3月の日韓首脳会談に合わせるように、日本人拉致問題に絡む「行方不明者」調査の再開を発表。関係改善に向けて明確なサインを次々と出した。
 日朝が非公式接触を始めて半年。2年前に南北首脳初対話を実現させた大統領の言葉に、首相も金総書記とのトップ交渉を明確に意識した、と外務省筋は言う。
 首相訪韓中、ソウルのホテルで開かれた韓国経済界主催の歓迎夕食会。招待客の1人、小此木政夫慶大教授は外務省の田中均アジア大洋州局長と隣り合わせた。
 「外務省は北朝鮮をどう考えてるんですか」。こう尋ねる小此木氏に田中氏は答えた。
 「悠長なことは考えていません。やる時は、一気にやります」
 ■情報管理
 首相官邸で訪朝計画の進行を知っていたのは首相、福田康夫官房長官と古川貞二郎官房副長官、そして飯島勲、別所浩郎の両首相秘書官の5人。安倍晋三官房副長官でさえ、首相訪朝は、発表当日になってようやく知らされたほどだ。
 外務省でも、竹内行夫事務次官、田中局長―平松賢司北東アジア課長ラインら、ごく一握りの幹部以外には一切が伏せられた。局長クラスの有力幹部には8月25、26日の日朝外務省局長級協議の直前、首相の訪朝プランが明かされた。
 「近く北朝鮮を訪問し金正日総書記とトップ会談をしたいと思う。その時には、ブッシュ大統領にも連絡する」
 小泉首相は27日、首相官邸でアーミテージ米国務副長官と会談した際、こう伝えた。会談には福田官房長官、ベーカー駐日米大使が同席。日本政府は米側に通訳出席を遠慮してもらい、別所秘書官が通訳した。
 ■首脳に直接電話
 首相訪朝決定の連絡は米国、韓国の両大統領には首相から直接電話を入れて伝えた。韓国の金大統領への電話は30日昼。ブッシュ大統領へは前日の29日だった。
 30日はロシア、中国首脳にも電話したが、プーチン大統領が飛行機で移動中だったことなど両者ともつながらず、外交ルートにゆだねた。中露は「驚くほどもろ手を上げ賛成してくれた」(外務省筋)という。
 外務省筋は「中国は北朝鮮が経済的困窮で崩壊し、韓国主導で統一されることを最も懸念しており、日本が北朝鮮を支援する姿が望ましいと考えている」と指摘する。米韓だけではなく、中露の後押しも首相訪朝の環境づくりになった。
 金大統領が来年2月に交代すれば、その後半年間は南北関係は動かないとみられる。米国のイラク攻撃が近い将来あると仮定すれば、米国からイラクなどと「悪の枢軸」と名指しされた北朝鮮にとって、対話による国際社会の仲間入りに残された猶予は「残り2、3カ月」(外務省幹部)とも言われている。
 訪朝発表後、田中氏はこう漏らした。「北朝鮮が首脳会談を望んでいたことは間違いない。我々も今やらなければ、将来に禍根を残す」
 
 
 
 
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