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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


毎日新聞朝刊 1995年10月21日
社説 米朝交渉 合意の実施を遅らせるな
 
 米国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核問題をめぐる歴史的なジュネーブ合意から、二十一日で一年が過ぎた。過去一年の朝鮮半島情勢は安定を保ち、かつての緊張状態は緩和された。
 昨年の米朝合意に至るまでの朝鮮半島情勢は、北朝鮮の核兵器開発疑惑と、核拡散防止条約(NPT)脱退、南北対話中断、対北朝鮮経済制裁問題、さらには金日成主席の死去などで大きく揺れた。こうした朝鮮半島をめぐる緊張状態は、いまでは大きく解消されている。
 この緊張緩和を生み出したのが、米朝の合意文書であったことは、否定できない事実であろう。昨年の合意成立後、事態は必ずしも合意のスケジュールに沿った進展をみせてはいない。それにもかかわらず、朝鮮半島情勢の緊張が、再び高まることはなかった。これは、米朝合意がつくり出した大きな成果である。
 昨年の合意で、米国は北朝鮮への二基の軽水炉供給と、年間五十万トンの重油供与などを約束した。これに対し、北朝鮮は黒鉛炉と関連施設の凍結に合意した。
 また、軽水炉供給のために朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)も開設された。KEDOを代表して、米国は今年四月二十一日までに北朝鮮との間で供給契約を結ぶことが、合意文書には明記されていた。さらに、早期の連絡事務所相互設置の準備も進んでいた。
 しかし、四月までの契約締結が難しくなったことから、北朝鮮側が態度を硬化させ連絡事務所の開設は、来年に持ち越されることになった。
 軽水炉の契約交渉が遅れているのは、北朝鮮側が港湾、道路、送電線など新たに付帯設備の建設を求めてきたためという。この付帯設備建設は、日韓の資金負担の増額を意味し、韓国は強く拒否している。
 一方、北朝鮮は合意文書に明記された「南北対話の取り組み」に、積極的な姿勢を示していない。このため、韓国側は北朝鮮が韓国抜きの米朝交渉だけを進めようとしている、と反発している。
 北朝鮮のこうした対応の背景には、軍部の反発など国内事情があるといわれる。一方、米議会内では南北対話に応じない北朝鮮への批判が高まっており、南北対話を軽水炉供給の条件とする厳しい決議案の提出と成立が相次いでいる。北朝鮮は、米議会の雰囲気を無視すべきではないだろう。
 もっとも、北朝鮮は米朝合意に従い、核開発疑惑の対象となった黒鉛炉や核燃料再処理施設を凍結し、核燃料棒保管などに関する作業にも積極的に協力しており、国際原子力機関(IAEA)などとの新たなトラブルは起きていない。
 こうしてみると、米朝合意とKEDOの設置は、朝鮮半島に緊張緩和をもたらす新たな国際システムとして評価できる。この機能を、さらに活用し発展させるべきである。
 すでに、KEDOが国際的な機関として設置されたわけで、米朝の交渉も断続的に行うのでなく、常設的な接触・交渉を継続することも可能なはずである。
 昨年の合意に盛られた南北対話の再開をはじめ、供給契約の締結、連絡事務所相互設置などの実施をいたずらに遅らせてはならない。実施の遅れは、合意文書の精神を失わせる恐れがあるからだ。
 
 
 
 
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