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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


毎日新聞朝刊 1995年5月28日
社説 北朝鮮 人道的支援は当然だが…
 
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が、日本の輸入余剰米の貸与を要請してきた。北朝鮮はまた、韓国からのコメ貸与も「検討したい」との意向も初めて明らかにした。
 朝鮮貿易促進委員会の李成禄会長は二十六日、与党三党幹部に「天候不順で農作物に大きな被害が出ている」と明らかにし、日本から「一定の量、一定の期間コメを貸与してほしい」と申し入れた。
 北朝鮮が、食糧不足を公式に認めたのは初めてといわれる。それだけ食糧事情が厳しい、ということであろうか。
 北朝鮮のコメ生産は、一昨年の冷害の際は百万トンを大きく割ったといわれている。また昨年の生産も百万トン前後と推測されている。二千二百万の人口からすれば、およそ三百万トンが必要で、約二百万トンが不足しているとみられている。
 誇り高い隣人が、率直に食糧事情の悪化を認め支援を要請している以上、人道的な問題としてこれに応えるのは当然であろう。困っている隣国の要請を早期に実現するため、政府は積極的に取り組むべきである。
 しかし、このコメの支援が朝鮮半島の緊張緩和と南北の和解につながるよう配慮すべきでもある。また、日本国民の善意が北朝鮮国民に十分に伝わるようにしてほしい。
 韓国は、日本の北朝鮮へのコメ支援問題について、これまで反対の立場を明らかにしてきた。韓国が呼びかけている食糧支援を、北朝鮮が受け入れていないからだ。このため、韓国は日本からのコメ支援については「北朝鮮が韓国の支援を受け入れるか、日韓共同での支援ならばいい」との立場を、日本側に伝えてきていたという。
 李会長は「政治的な条件がないのなら、南朝鮮(韓国)からのコメの貸与受け入れも検討したい」との立場を明らかにした。これは、韓国からのコメ受け入れについても日韓と北朝鮮の間で、ある程度の根回しがすでに行われている事実を示唆している。
 韓国の羅雄培・副首相兼統一院長官も、「前提条件なしの穀物提供」と南北協議を提案した。日本のコメ支援実現を、ぜひとも南北対話の再開につなげてほしい。政府は、こうした面での韓国への配慮と北朝鮮への働きかけを忘れてはならない。
 しかし、今回の北朝鮮のコメ貸与要請については、気になる点がないわけではない。李会長は、コメの貸与要請が訪日の最大の目的であるにもかかわらず、大阪から入国し京都を経て東京に入った。この背後に日朝貿易に携わる業者や政治家の影が、ちらついてもいる。
 「人道的」という美名に隠れて、コメ支援が利権やいかがわしい政治目的に利用されてはならない。また、南北関係を緊張させる結果を招いても困る。
 さらに、李会長らの入国ビザは異例の速さで発給されている。このビザ発給には、自民党政治家の強い要請があったといわれる。日韓、日朝関係には通常の手続きを無視する行為や、政治関係者の利権疑惑がつきまとった。今回は大丈夫だろうか。
 北朝鮮へのコメ支援に関しては善意を利権に変える行為が横行しないよう、ガラス張りのシステムで実行してほしい。また、日本からのコメが軍事備蓄用などに流用されてはならない。
 
 
 
 
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