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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


朝日新聞朝刊 2003年2月26日
「日米韓」を忘れずに 盧大統領(社説)
 
 盧武鉉(ノムヒョン)氏が韓国の第16代大統領に就任した。
 北朝鮮の核開発問題で緊張が高まるなか、新世代の指導者の手腕に国際社会の目が注がれる。
 前日、北朝鮮が地対艦ミサイルを日本海に向けて発射した。訓練の一環とされるが、対話に応じようとしない米国への牽制(けんせい)でもあろう。盧政権の多難な前途を予感させる。
 就任式には小泉首相をはじめ、パウエル米国務長官、中国の銭其シン副首相らが出席した。外交経験が乏しい盧氏がこの危機にどう臨もうとしているのかを直接知るためだろう。国際社会の危機感の深さを、盧氏も実感したと思う。
 就任演説で語ったのは「平和繁栄政策」だった。北朝鮮との問題は対話を通じて解決する。相互信頼と互恵。南北を当事者としながら国際協力を追求する。対北政策の透明性を高め、国民参加を拡大する。
 金大中(キムデジュン)前大統領の太陽政策を基本的に継承したものだが、互恵主義を盛り込んだのは、前政権が一方的に譲り過ぎたという内外の批判に応えてのことだ。
 韓国が民族の分断を超えて北側と交流し、信頼を深め合おうとすることは、朝鮮半島の安定に寄与するだろう。当事者意識を大事にしようとすることも当然だ。
 だが、3年前の歴史的な南北首脳会談が平和や安全保障問題に踏み込めなかったことを思い出すまでもなく、南北間だけで北朝鮮問題を解決できないことは明白だ。
 危機はますます深まるかもしれない。
 核不拡散条約からの脱退と核施設の再稼働を宣言した北朝鮮が、さらに弾道ミサイルを発射し、核開発を加速させるなどして、瀬戸際政策を強める可能性は低くないとみるべきだろう。
 それにもかかわらず、いま韓国と米国の関係はきしんでいる。盧氏は国内での反米感情の高まりを背景に当選した。米国内では在韓米軍撤退論すら語られる。実態以上に感情的な言葉が飛び交う有り様だ。
 盧大統領は韓米同盟の重要性を強調したが、核問題は米朝の直接対話で解決できるという韓国と、多国間で対処しなければならないとする米国との溝は深い。
 パウエル長官は大統領との会談でブッシュ政権には北朝鮮を攻撃する計画がないことを表明し、北朝鮮に最大10万トンの食糧支援を実施することも発表した。
 盧氏への配慮だが、米朝直接対話の求めには応じなかった。イラク問題で、それどころではないということだろう。
 日本もまた北朝鮮政策では手詰まり状態にある。拉致問題は進展せず、米韓の板挟みともなっている。
 小泉首相は初の首脳会談で、日朝正常化に努力するという日本の立場とともに、日米韓3国の連携の大事さを主張した。だが、具体策となると心もとない。
 日米韓は、盧大統領の就任を、北朝鮮に対する政策調整を仕切り直しするきっかけにすべきだろう。
 盧氏は歴代の指導者に比べて、日本、中国との結びつきを重んじる。就任演説では北東アジアの「共生」を打ち出した。
 この方向性を北朝鮮問題にも生かすことができないか。中国やロシアを巻き込んでの新たな枠組み作りに日韓が力を合わせる。そんな試みはどうだろうか。
 それにしても、朝鮮半島安定の土台は良好な米韓関係にある。そのことを忘れてはならない。
 日韓両国の信頼がますます大切になることもいうまでもない。
 新しい時代の新しい指導者に期待する。
 
 
 
 
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