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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


朝日新聞朝刊 2002年9月15日
歴史を動かせるか 首相訪朝(社説)
 
 日本の首脳外交がこれほど注目を集めるのは久しぶりのことだ。電撃的な発表から半月余り、小泉純一郎首相が17日に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問し、金正日総書記と会談する。
 日本と朝鮮半島を結ぶ長い歴史と、北朝鮮を取り巻く国際情勢のうねり。その接点に、首相は立つことになる。自ら「歴史的責務」と語ったが、結果次第で戦後の日本外交に区切りをつけうる舞台である。
 もちろん日朝間の深い溝が一度の首脳会談で埋められるはずはない。まずは、首脳同士が互いに障害を取り除いていこうとする意志を明確にすることが大切だ。
 ブッシュ大統領は日米首脳会談で、北朝鮮についての「幅広い懸念」を伝え、特に大量破壊兵器の問題を重視した。
 核開発疑惑やミサイル問題が、いかに東アジア、ひいては世界の安全保障を脅かしているか。小泉首相は総書記にきちんと指摘し、核査察受け入れを求めるべきだ。
 拉致問題を棚上げできないことはもちろんである。この問題の進展なしには、国交交渉再開はありえない。そこは小泉首相も譲れないところだ。北朝鮮は、今度こそ実のある回答をしなければならない。
 一方で、こちらも心したいことがある。北朝鮮との国交正常化とは、日本の戦後処理の問題でもある。起点にあるのは、北朝鮮という国ができる前の朝鮮半島であり、そこでの日本の振る舞いである。
 91年に国交正常化交渉が始まる布石になったのは、その2年前の竹下登首相の発言だった。国会で植民地支配について「深い反省と遺憾の意」を表し、北朝鮮に対話を呼びかけた。国交正常化は、本来は日本が主体的に取り組むべき課題なのだ。
 小泉首相には、明快な言葉で過去に一線を引いてほしい。非は率直に認め、償うべきは互いに納得のいくよう手だてを尽くす必要がある。
 「過去の清算」が必要なのは、残された戦後処理のためばかりではない。現在や将来の問題にもかかわるからだ。過去が乗り越えられてこそ、日朝関係に打開の道も開けよう。拉致問題の解決と再発防止にも、それは欠かせないことなのだ。
 日朝の関係改善は地域の安定に大きく貢献する。不信と相互監視の時代を超えて、東アジアの安全保障に新たな構図を描き出す。首相訪朝は、そこまで見すえた第一歩としなければなるまい。
 「我々が何をするかを世界が見守り、耳をそばだてて期待している」
 ニクソン米大統領がそう語ったのは、世界をあっと言わせた72年2月の訪中の際だ。毛沢東主席と会談し、歴史的な上海コミュニケで冷戦構造を大きく変えた。
 唐突ともいえる小泉首相の訪朝にはリスクもあろう。だが、さいは投げられた。日本がアジアの平和と安定に役割を果たす大きな転機となることを期待したい。
 
 
 
 
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