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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


朝日新聞朝刊 1999年11月3日
制裁緩和にこたえよ 北朝鮮(社説)
 
 昨年八月末の「テポドン」の発射に対して、日本政府がとった朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への制裁措置のうち、チャーター航空便の運航停止が解除された。以前は北朝鮮産マツタケの輸入などにも利用されていた。
 九月の米朝合意で、北朝鮮は「朝米協議が続いている間は、ミサイル発射をしない」と約束した。これを受けて米国は、経済制裁の一部を緩和している。
 日本は米国や韓国と協議し、米韓に足並みをそろえる形で、制裁措置の一部解除に踏み切った。
 しかし、日朝国交正常化交渉の凍結、食糧支援などの見合わせ、という日本の対北朝鮮制裁は依然続いている。今回の措置は限定的なものである。
 とはいえ、米朝協議の進展に歩調をあわせつつ、わが国が北朝鮮との関係を着実に改善していくことは、朝鮮半島の平和の維持と緊張緩和にとって大切なことだ。それへ向けての第一歩と位置づければ、今回の措置の持つ意義は小さくない。
 このところ、北朝鮮の対外姿勢がやや柔軟になってきた。
 金正日総書記は十月初め、韓国・現代グループの鄭夢憲会長と平壌で会談し、北朝鮮の西海岸に計画されている工業団地の建設に、現代グループが協力することで合意した。
 すでに同グループが北朝鮮と進めてきた金剛山の観光事業を、韓国人だけでなく外国人にも開放する方針も打ち出した。
 日本に対しても、謝罪と補償を前提条件に国交正常化交渉に応じる、という異例の政府声明が出された。
 近くベルリンで開かれる米朝協議で、米朝関係に進展があるかもしれない。
 こうした対外姿勢の軟化は、北朝鮮を取り巻く情勢の変化を反映している。
 十月に発表された米国のペリー政策調整官の報告書は「金正日体制の崩壊を早めることを目標にした北朝鮮転覆政策はとらない」と明確にした。これは米国による体制の転覆を警戒してきた金正日政権に安心感を与えたに違いない。
 六月の金永南・北朝鮮最高人民会議常任委員長の中国訪問以来、中朝関係は大きく改善に向かった。北朝鮮にとっての数少ない友好国であり、最大の援助国でもある中国との関係改善は、北朝鮮の対外姿勢の変化を背後から支えている。
 食糧不足はいぜん深刻だが、昨年来、農業生産はやや上向いてきているらしい。金正日政権の基盤は当面、揺るがないとみなければなるまい。
 とすれば、好悪の感情は別にして、日本は米韓と協調しながら、国交正常化交渉や食糧支援の再開を考えていくべきであろう。朝鮮半島の緊張緩和への流れを促進する役割を、日本は果たすべきだ。
 しかし、日本人の拉致疑惑が解明されないままでは、国民感情としても次の制裁解除に踏み出すのには抵抗感が強い。
 日本の制裁緩和を受けて、北朝鮮が人道的見地から、誠意をもって行方不明の日本人の捜索に協力するのであれば、関係改善は進めやすくなる。
 再開されるチャーター便を使って日朝間で政治家や要人が往来し、両国の相互理解や対話が拡大することも望まれる。
 北朝鮮は日本から発せられた善意のシグナルを見落とすべきではない。今度は北朝鮮がこたえる番である。
 
 
 
 
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