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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


朝日新聞朝刊 1992年11月08日
日朝交渉を停滞させるな(社説)
 
 日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との8回目の国交正常化交渉が、半年ぶりに北京で開かれた。中国と韓国の国交樹立を受けての交渉だったが、「李恩恵(リ・ウネ)」の問題をめぐって紛糾し、本会談は半日で打ち切られた。
 第1回の予備交渉から満2年になるが、実質的な進展はみられない。相撲でいう仕切り直しの状態が、延々と続いているのは誠に残念である。
 今回も会談の成果は薄いとみられていた。北朝鮮の核開発疑惑に対する国際原子力機関(IAEA)の査察が継続中であること、米国と韓国の大統領選待ち、さらに南北対話の後退によるものだ。
 正常化の目的は日本による戦前の植民地支配を清算し、北東アジアの平和と安定、緊張緩和を実現することにある。双方がそれぞれに置かれた立場を見つめ直し、誠意をもって局面打開をはかってほしい。
 20年前の日中国交では世論の支持が支えとなった。ところが、北朝鮮との交渉では世論がさめている。何よりも信頼感の問題だろう。北朝鮮は柔軟さを見せ始めてはいるが、なお不十分だ。
 ここのところをよく考えてもらわねばならない。停滞の最大の原因は北朝鮮のこうした姿勢と核疑惑にある。
 北朝鮮の核開発はアジア・太平洋の安全保障に深刻な影響を与える。IAEAの核査察が年を越しそうな気配に加え、南北相互核査察のメドも立っていない。
 北朝鮮はなによりもまず、核疑惑の解消へ向けて具体的行動をとる必要がある。
 最後の冷戦構造といわれる朝鮮半島で、韓国が旧ソ連に次いで中国と国交を樹立した。北朝鮮は唯一の後ろ盾だった中国の方針転換で窮地に追い込まれている。
 北朝鮮経済の立て直しには、西側の経済協力が欠かせない。これは中国を含む関係国の一致した認識である。北朝鮮はメンツにこだわっている時ではない。
 一方、日本は戦前の加害者としての反省に立ち、経済再建を積極的に支援する視点を忘れてはなるまい。同じ苦痛を与えた韓国との交渉が妥結して27年、米国とは立場が異なることを知るべきだ。
 クリントン次期大統領の誕生で、米国の新しい朝鮮政策が見えてくるまで、交渉は進まないとの見方がある。北朝鮮に圧力をかけられる立場の中国も、米国の態度を当分は見守るだろう。
 交渉が、南北朝鮮や米朝の関係改善に連動するのは避けられないかもしれない。だが、日本は模様ながめの態度を取るべきではない。交渉が決裂することのないよう、粘り強く臨むことだ。
 北朝鮮を国際的な孤児にしてしまうと、緩和に向けて動き出した朝鮮半島に緊張を持ち込む恐れも出てくる。
 その意味で最近、北の核疑惑に対する米韓両国の言い方が、「予想したほど深刻な事態ではない」と微妙に変化し始めているのに注意したい。
 外務省筋は、交渉の進み具合をトラック競技の400メートルにたとえ、現在はバックストレートを走っている状態で、第3コーナーに核問題、第4コーナーに「償い」の難問が待ち受けている、と表現する。
 北朝鮮との国交正常化は、北方領土返還と並んで、戦後に残された大きな外交課題といえる。しかし、北方領土はロシアのエリツィン大統領の訪日延期で、長期戦を覚悟せざるをえなくなった。
 日朝両国はゴールに向けて、交渉のピッチを速めるべきである。
 
 
 
 
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