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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


朝日新聞朝刊 1990年09月11日
金丸訪朝団の役割は大きい(社説)
 
 自民党の金丸信氏の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)訪問が本決まりになった。日本と北朝鮮の政府間対話に道を開き、関係改善に向かう一歩になることを期待する。
 長期抑留されている第18富士山丸船長らの釈放を、金丸氏は訪朝の前提にしていた。自民、社会両党の先遣団が北朝鮮から確かな感触を得たのだろうが、その見通しが裏切られることがないよう祈りたい。
 日朝は隣国であるにもかかわらず、国交さえない異常な関係が続いている。東西冷戦、南北分断など、わが国の力ではいかんともしがたい事情もあったが、打開に努める責務は、36年間にわたって朝鮮半島を植民地支配した日本がまず負っている。
 韓国にと同様、北朝鮮とのあいだでも「過去の清算」のため、心を開いて話し合わねばならない。賠償の合理的な解決もその大切な柱であり、避けては通れない。
 実務的な交渉は外交当局が詰めることだが、関係打開の旗印を内外に鮮明にするのは、すぐれて政治の仕事である。わが国とソ連や中国との国交回復の前例を振り返ってもそうだった。
 金丸氏は先方の最高指導者と腹蔵なく話し合い、日朝関係や朝鮮半島の将来にどんな考えをもっているのか確かめてもらいたい。それが政府同士のパイプをつなぎ、対話の地固めをすることになるからだ。
 植民地支配を通じて、日本は朝鮮半島の人々に大きな被害を及ぼした。過去の歴史を日本人がどう考えているのか、的確な言葉で相手につたえ、それを行動に表していくのは、われわれの務めである。
 日朝の関係改善は未来志向でなければならぬ。アジアの平和、朝鮮半島の緊張緩和を促進する方向であることが肝要だ。
 韓国と北朝鮮のあいだでは、最近首相会談が開かれた。朝鮮半島の緊張緩和は、南北当事者の直接対話の積み上げ以外に道はない。日朝関係改善は、その進展を側面から支え、環境を整えるものでありたい。
 わが国の北朝鮮との対話は、なにより韓国、そして米中ソとも、十分打ち合わせをして、誤解のないように進めるべきだ。ガラス細工のように微妙な朝鮮半島の均衡を損ねないよう、細心の注意が必要である。
 朝鮮半島をめぐる国際情勢は、冷戦時代とはさま変わりしている。北朝鮮の同盟国であるソ連、中国は韓国と経済交流を深めている。東欧に続いてソ連と韓国の国交正常化も遠くないととりざたされるほどだ。
 このような外交的孤立に加え、北朝鮮は経済の面でも立て直しを迫られている。南北分断から1970年代半ばまで、北朝鮮は韓国に軍事だけでなく経済でも優位に立っていたが、いまではそれが逆転した事実を世界の目からおおうことは不可能になった。
 西側に接近して、技術と資本を導入することは、北朝鮮主導の統一戦略の生き残りをかけた戦術かもしれない。半面、外界からの情報を統制して国民の忠誠心を動員してきた体制だけに、門戸開放は一歩誤れば政治的動揺を招きかねない。
 ジレンマをかかえて半歩踏みだした北朝鮮の事情を洞察しつつ、わが国はその経済建設に協力を惜しむべきではない。
 同時に、朝鮮半島の南北統一はあくまでも平和の道筋を通って実現されるべきだとの姿勢を毅然(きぜん)と保って臨むべきだ。朝鮮戦争のような武力衝突はもちろん、大勢の韓国閣僚が爆殺されたラングーン事件や大韓航空機爆破事件などの悲劇が起きないよう祈るのは、隣国としての真情である。
 
 
 
 
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