日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


朝日新聞朝刊 1985年05月15日
'85春・北朝鮮から:2
変わる平壌
子供ら“外人慣れ” 秋にはダンスホールも
 
 「うーん、どうしてなんだろう」
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の首都、平壌市内を乗用車で走り抜けながら、私の脳裏にふとそんな思いが浮かんだ。
 
 既存ホテルは満杯
 
 道路端を歩いている子どもたちが、私の乗った乗用車を見ても、知らんふりなのだ。私にとって平壌の街との出合いは4回目であったが、これまでは、乗用車で走ろうものなら、道路端の子どもたちは直ちに気をつけをして、男の子ならサッと右手を額の前に上げ、女の子ならピョコンと頭を下げ、車に向かってあいさつしたものだった。この国で乗用車に乗る人といえば、党や政府の高官か外国からのお客さんだから、乗用車を見たらあいさつするようしつけられていたのであろう。
 「行儀が悪くなったのかな」。が、疑問はまもなく解けた。私の車に同乗していた対外文化連絡協会(対文協)の人が「外国のお客さんが増え、乗用車も増えた。それで、子どもたちもいちいち立ち止まってあいさつしてはいられなくなったんですよ」と申し訳なさそうに“弁明”したからである。
 確かに、平壌は外国人が多くなった。ソ連・東欧、西欧、中国、アフリカ、中米など、世界各地の人々。外国人の増加に伴って、平壌の街も急速に変わりつつあった。人口約150万の平壌の玄関口、平壌駅前では、天を突くようなツインタワービルが建設中だった。42階建ての外国人用ホテルだ。市内にはすでにいくつかの外国人用ホテルがあるが、それだけでは収容できなくなったのである。
 
 サウナや美容院も
 
 平壌の中心部を北から南へ流れる大同江の中州、羊角島でも46階建ての外国人用ホテルの建設が始まっていた。「フランスのカンペノン・ベルナール建設会社との合弁で、ベッド数は1200。この2月に着工、工期は31カ月」という。大同江のほとりから眺めると、島の表土が掘り返されていた。
 外国人が増えれば、ホテルのほかにも、さまざまな施設が必要となる。都心には、外貨専門の日朝合弁百貨店がお目見えし、平壌駐在の外交官や外国人商社員らでにぎわっていた。合弁百貨店の隣はヘルスセンター。プール、サウナ、美容院、マッサージ室などがあり、土曜日は外国人にも開放されている。
 外国人用のレストランもある。その敷地内で工事が行われていた。平壌滞在中の日本人商社員がいった。「ダンスホールが造られるとのことです。秋には完成と聞いていますが」。外国人用ホテル内では、日朝合弁の喫茶店が完成に近づいていた。平壌郊外の景勝地、テソン湖のほとりでは、ゴルフ場まで建設中だった。湖畔に立つと、緑の丘陵が切り崩され、コースを造成しているのが望まれた。
 タクシーがお目見えしていたのも、以前と変わった点だ。「5、6年前から走っていますよ」と、対文協。一部の外国人用ホテルに駐車していて、電話で呼べる。「TAXI」の表示はなく、外観は普通の乗用車と変わらない。メーターもない。
 
 撮影制限1回だけ
 
 大同江のほとりにそそり立つ主体思想塔。3年前、金日成主席の誕生70周年を記念して建立されたもので、高さ170メートル。150メートルのところに市内を一望できる展望台があるが、そこから写真を撮るのも自由だった。1年前にもここに上ったが、その時はカメラを携行することさえ許されなかったのに。
 滞在中、写真撮影を遠慮するようにいわれたのは1回だけ。高速道路を突っ走るカーテンをおろした黒塗りの乗用車の列にカメラを向けた時だった。撮影にあたって制限だらけだった7年前とは隔世の感があった。
 展望台から眺めると、市民用のアパートもいたるところで建設中だった。17年前に訪れた時には4―5階のアパートが盛んに建てられていた。7年前には10―20階建てのものが目についた。が、今回、目に映ったのは20―40階建てのものである。アパートは年々、高層化しているようだ。
 平壌は、確かに、しかも急テンポで変容しつつある。
 (岩垂 弘記者)
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
12位
(28,694成果物中)

成果物アクセス数
462,081

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年4月22日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【中国について】
2.私はこう考える【ダム建設について】
3.私はこう考える【死刑廃止について】
4.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
5.私はこう考える【天皇制について】
6.私はこう考える【国連について】
7.私はこう考える【自衛隊について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から