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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


朝日新聞夕刊 1971年11月22日
チュチェの国 北朝鮮:4
小さな革命家
思想重視する教育 実験・実習を中心に鍛える
 
 平壌市の南、農村地帯の平安南道中和郡にある中学校を訪問した。校門に着いたとき、ブラスバンドが鳴り、校舎までズラっと人がきができていた。だれか偉い人でも来るのかな、と思ったら、私の歓迎のためだった。車を降りるとセットンチョゴリ(民族衣装)で正装し、薄化粧までした少女がほほえみ「日本の朝日新聞の記者先生、ようこそいらっしゃいました」。そのうえ両側から腕をとって校内へ。どぎまぎしてしまった。
 
 衣服まで国の負担
 
 中学校は十二歳から十六歳までの五年制。日本の小学校に当る人民学校は八歳から十一歳までの四年制で、九年制の義務教育。生後五十六日−四歳の託児所、五−七歳の幼稚園生活もいれると、子どもたちは満十六歳まで、教科書から衣服までいっさいを国の負担で育てられる。
 中和中学は生徒数千五百四十人。一学級は三十五人で、四十四学級。男の生徒も女の生徒もいたが、男女共学ではなく、学級編成は男女別々だと、パク・チュンハン校長(三九)が説明した。「女子はやはり生理的にも、情緒的にも男子と違いがあり、女子には女子にふさわしい実習もあるので」
 授業時間も独特だった。午前は九時から十二時半まで、午後は三時半から四時半まで。午後零時半から三時半までは昼休み。[昼食後すぐの授業は健康によくないし、効率も悪いですから」。そういえば、官庁や銀行も午後一時から四時までは休みで、昼寝の習慣を取入れていた。
 学校でまず案内されたのは、金日成首相の「革命活動研究室」。「子どもたちは、革命の後継者であり、教育の基本は生徒を首領の革命思想、チュチェ思想で武装させ、立派な革命家に育てあげることです」。つづいて「少年団活動室」。北朝鮮の子どもたちのほとんどが首にまいている赤いネッカチーフは、団員のしるし。入団には革命への忠誠を誓う、ときいた。
 
 理論と実践を密着
 
 トラクターの実習室もあった。卒業時には全員運転できるようにするという。モールス通信練習室もあり、生徒が「日朝両国人民の連帯を」と打ってみせてくれた。化学実験室など各種の実習室もあった。「教育と生産労働、理論と実践を密着させるため、実験、実習に重点を置きます」。そして、豆革命家たちは「社会と人民に貢献する政治活動家」として朝鮮労働党の政策宣伝隊、科学知識普及宣伝隊、芸術宣伝隊を組み、工場、農場、人民班に出かけていくとも聞かされた。
 しかし、子どもはやはり子どもである。平壌では、よくアイス・スティックをくわえて歩く子どもを見た。清津では、女の子の一群をからかった男の子が、反対にのされて、逃げ出していた。女の子たちは、一斉にアカンベー。金剛山で行きあった中学生の一行は、渓流にかかったつり橋をゆすって、若い女の先生に悲鳴をあげさせた。
 そして、子どもたちはよく、大声で歌を歌いながら大通りを行進する。その一つに「空は青く、私の心ははずむ・・・」という出だしの歌があった。題名は「セサンゲプロモプソラ」――日本語に訳すと「この世にうらやましいことはない」
 
 少年のための宮殿
 
 託児所、幼稚園には専門の小児科医と栄養士がいて、工場では子ども用に乳牛を飼う。平壌市の中心部にそびえる「学生少年宮殿」には天文台、大劇場、体育館、博物館、実習室と、思想、科学、芸術、文化、スポーツの、あらゆる部門の施設が集められ、学生、少年がいつでも利用できるようになっていた。大理石がふんだんに使われている。「子どもは国の未来の主人公。一番よいものは、まず子どもたちに」がモットーだった。中和中学の生徒は「月謝」という言葉を知らなかった。
 「幸福であればあるだけ、過去を忘れてはいけない」という歌もきいた。パク校長がいった。「若い世代は過去の搾取社会を知らないし、祖国解放戦争(朝鮮戦争)の試練も受けていない。だからこそ、思想的にしっかり武装させることが重要なのです。地球上に帝国主義が存在し、アメリカ帝国主義が南朝鮮を占領している以上、青少年たちの反帝意識を強め、地主、資本家への憎悪心を植えつけることが、われわれ教育者の最大の任務です」
 そして、女生徒のキム・キョンジャさん(一五)は生徒の本分について、こういうのだった。「敬愛する金日成首領からお声があれば、いついかなる場合でも、祖国の統一のために自分の身をささげられるよう、思想的にも、肉体的にも鍛練しなければなりません」
(宮田前特派員)
 
 
 
 
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