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剣道が僕を変えてくれた
山形県米沢恒武館 真島 崇行
中学生の部 優秀賞
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 僕は、剣道を始める前までは、何事にも消極的で内気な性格で、自分から率先して行動を起こすなど 僕が剣道を始めたのは、小学校三年生の春でした。理由は、そろそろ何か始めようと思った時に、祖父が通っている剣道の道場が思い当たった事と、家族からの強い勧めがあったからでした。
 恒武館に入門して最初に礼儀作法を正しくして、しっかりと挨拶できるよう指導を受けました。これは、とても大切な事なので、学校や家でも、どんな時にも素直にできるよう今でも心がけています。
 恒武館に入門してしばらくは、素振りや足さばき等の基本動作をひたすら繰り返し練習してきました。2、3ヵ月位過ぎると、防具をつける事が許され、「これでみんなと一緒に稽古できるぞ」と喜んだものでした。しかし、人一倍不器用な僕は、防具の着け方がなかなか覚えられず、2週間くらい家で泣き泣き練習してやっとのことで着けられるようになり、ようやくみんなと一緒に稽古できるようになりました。
 初めての稽古では、わけのわからないうちに先輩の打ち込みがどんどん降ってきて、自分から打ち込んでいくなどということはとうていできませんでした。
 しかし、僕は早く先輩方に追い付こうと稽古を休まず頑張り、五年生の時に団体戦の選手に選ばれ、6年生の時には水戸大会に出場することができました。不器用な僕でも努力を重ねれば道が開けることを体験することができました。
 また、恒武館では四年生になると、週一回詩吟を習います。僕はこの詩吟が好きですが、みんなの前で一人で吟じるのは恥ずかしく緊張もしました。でも、聞いている友達のお母さん達が「上手だね」と誉めて下さり、六年生になる頃には緊張もしなくなり、堂々と腹から声を出して吟じられるようになりました。学校でも学級委員に立候補したり、手を挙げて発言する事も増えてきました。少しずつですが、自信もついてきたのです。
 市立第一中学校に進学した時は、迷わず剣道部に入部しました。小学校の時とは違う稽古風景や素早い動きに感動しました。毎日が充実した稽古で、家に帰るとくたくたでした。そんな中、中体連の選手が発表され、僕が三年生も二年生もいる中から団体戦のメンバーに選ばれました。団体戦に出られるという事で、さらに懸命に稽古に励んだ結果、見事優勝し県大会への切符を手にすることができました。「一生懸命やった分だけ自分にかえってくる」と、部活動の顧問の先生がよくおっしゃっていますが、その通りよい成果をあげることができ、次へ挑戦する力となっていきました。
 剣道の稽古では、つらいこと、苦しいこと、痛いこと、暑いこと、寒いことなどがいつもついてまわります。このようなことにも負けないで稽古を続けることによって、また、新しい自分を発見する事ができると願い、努力していきたいと思っています。
今 、僕は、総勢21名の剣道部の部長として、みんなを引っ張っていく立場になりました。内気な性格だった僕が、自分に自信をもって頑張れるようになったのは、色々な面でご指導下さった館長先生をはじめ、沢山の先生方、支えて下さる両親やまわりの方々がいたからと心より感謝致します。これから僕は、仲間を大事にし、協力して、さらに稽古に励んでいきたいと思います。
 また、剣道を正しく真剣に学び、心身を鍛え、旺盛なる気力を養い、礼節や信義、誠を尽くして自己の修養に努め、剣の理法に少しでも近づいていきたいと思います。








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