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5-5.木造船の建造・収集・復元・保存について
 木造船の建造・収集・復元・保存にあたって必要と思われる考え方は、下記のとおりである。
(1)海・川・湖・潟にまたがり、地域的にも偏りのないように選択に配慮する。
(2)技術的には、丸木舟系統、板舟系統双方の技術をふくめる。
(3)緊急性の高いものを優先する。具体的には、
*儀礼用の舟よりも、その土地の実用に使われていた舟。船大工は健在だが、生活上必要とされなくなり、造られなくなっているものを優先する。
*過去に記録・現物保存がゆきとどいていないものを優先する。
*造り手が減少し、他にかわりがないもの、あるいは技術伝承をはかるため、若手船大工が参画可能なものを優先する。
(4)建造にあたっては、いわゆる博物館価格ではなく、建造者に主旨をよく理解していただき、地元価格で製作にあたってもらう。現物収集の場合も、極力無償譲渡を優先する。
(5)建造・利用に関する調査記録(写真・図面・文字)の充実をはかるため下記の項目内容を整理しマニュアル化する。
[1]「復元建造時における記録方法の統一化」
・映像記録の項目の整理
・部材の数値化の方法
・図面の保存
[2]「復元・保存する船の歴史的背景、漁労習俗等の調査」
・地元の産業とのかかわり
・地元漁業における位置付け
(6)造られた舟は、博物館等に保存展示する。
(7)建造・利用に関する調査研究成果は、広く一般向けの本として公刊し、海洋文化の啓蒙に資する。








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