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5-3.船大工について
 予想以上に船大工はまだいることがわかったが、非常に高齢化しているため手放しには喜べない現状があるという調査結果になった。船大工の年齢構成を見ると65歳以下は激減する。このことは、10年経ったら船大工の技術が絶滅してしまうことをあらわしている。
船大工年齢構成
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 一地区に船大工が1人というのが圧倒的に多い。2人、3人のところもあるが、相互の連携がとられているとは限らないし、木造漁船の造船における後継者難の現状から、現在の船大工が亡くなると一挙に断絶がくるのではないかという危うさが感じられる。
 70〜74歳の年齢層が船大工としての実績が最もあり、昭和20年代以降ぐらいの船を実際に扱っているのではないかと思われるが、戦前の船を建造できる人となるとかなり数が限られると考えられる。この層が存命の間に何とか後継者を養成なり、技術の保存、記録などを考えていかなければならない。
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船大工道具は、家大工の道具には見られない特殊なものがあり、総じて頑丈である。
 また、このデータに載っていない方もおり、そういった方々はもう20年以上船を造っていない、現役ではない方々なので漁協の調査の網をくぐってしまっている。まだ健在で、頼めば造れるという方がある程度抜け落ちている可能性もある。現役だけでなくリタイアした方々から聞き取り調査をしていくことも考慮すべきである。








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