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1. 調査の概要
1.1 調査の目的
 米国テキサス州ヒューストンにおいて、平成13年4月30日(月)から5月3日(木)まで開催されるOTC2001(Offshore Technology Conference, 2001)に参加し、最新の石油掘削機器開発に関する調査や学術研究発表の聴講を行なうことを目的とした。また、ヒューストン郊外のテキサスA&M大学Ocean Drilling Program (ODP)事務局を訪問し、ODPが現在開発中の保圧コアバーレルに関する意見交換を行う他、フロリダ州Perry Slingsby Systems社、カナダ バンクーバーのInternational Submarine Engineering Ltd(I.S.E.)を訪問し、海洋石油開発業界や海底ケーブル設置・調査会社向けの重作業ロボットなど海外の無人探査機開発状況を調査することを目的とした。
1.2 訪問先
(1) OTC2001会場(米国テキサス州ヒューストン)
(2) テキサスA&M大学ODP事務局(米国テキサス州カレッジステーション)
(3) Perry Slingsby Systems社(米国フロリダ州)
(4) International Submarine Engineering Ltd(カナダ バンクーバー)
1.3 調査員
  海洋科学技術センター    
  海洋技術研究部   研究副主幹   野口 雅史
  深海地球ドリリング計画推進室   研究員   矢野 裕亮
1.4 調査日程
調査日程は以下の通りである。
月日 日程
4月29日(日) 成田 出発 → ヒューストン 到着
4月30日(月) OTC2001出席
5月 1日(火) OTC2001出席
5月 2日(水) OTC2001出席及びODP事務局訪問
5月 3日(木) OTC2001出席 夕刻ウエストパームビーチヘ移動
5月 4日(金) Perry Slingsby Systems社訪問
5月 5日(土) バンクーバーへ移動
5月 6日(日) 資料整理日
5月 7日(月) International Submarine Engineering社訪問
5月 8日(火) バンクーバー 出発 
5月 9日(水) 成田 到着
1.5 調査結果の概要
1.5.1 OTC2001
 1969年に始まったOTC (Offshore Technology Conference)は、海洋資源に関する掘削技術、探査技術、生産技術、安全管理・環境保護等についての論文発表と、海洋資源開発(特に石油掘削)において使用されている機器・材料の展示から構成される。この会議は特に石油開発分野の発表や展示が多く、世界各国から海洋資源開発に係る研究者、技術者が参加する貴重な情報交換の場となっている。
 海洋科学技術センター(JAMSTEC)では、平成11年度末より地球深部探査船「ちきゅう」(科学目的ライザー掘削船)の建造に着手したことから、今回の調査においては、掘削機器・材料等の展示を中心に、掘削船の開発に関連する項目について情報収集を行った。日本国内においては大規模な海洋掘削機器や海洋調査機器に関する展示発表がないため、最新の機器開発状況を把握するために貴重な機会であった。
 展示会場には、ドローワークス、シェルシェーカー、マッドポンプまた廃棄泥水処理システムなど掘削に必要な各種機器や制御システムにとどまらず、ROV (Remotely Operated Vehicle)、DPS (Dynamic Positioning System)、救命艇また浮力材などといった海洋開発には欠かせない製品が展示されていた。これら機器開発メーカーだけではなく、海洋掘削会社であるイタリアSaipem社等は自社所有の石油掘削船模型などを展示して、自社の広報活動を行っていた。また近年、海洋石油掘削における大水深化が進んでおり、それに伴い大型単胴船型の石油掘削船が建造される傾向にある。韓国の造船会社などは自社で建造した掘削船やFPSO (Floating Production and Storage Offloading)の模型を展示して説明を行っていた。またDNV (Det Norske Veritas)やABS (American Bureau of Shipping)など船級協会もブースを設けて広報活動を行っていた。
 また屋内会場だけではなく、屋外会場にも大型ライフボートや長大なドリルパイプなどの孔内ツール類が展示され、各社の担当者により説明や販売活動が盛んに行なわれていた。
 一方、論文発表会場では4日間にわたり48のテーマ、300を越える専門的な論文が発表されていた。海洋石油開発に関する内容のものが大部分であるが、資源工学的内容、機械的内容など非常に幅広いテーマの論文が発表されていた。現在JAMSTECでは科学目的ライザー掘削船の建造と並行して、地質サンプル採取機器や廃棄泥水処理システムなど様々な機器を開発しているため、これら開発に関連する幾つかの論文発表を聴講した。
1.5.2 テキサスA&M大学ODP事務局
 ODP (Ocean Drilling Program)は世界で唯一の科学目的の深海掘削計画を運営している組織である。ODP事務局では科学目的ライザーレス掘削船JOIDES Resolutionの運航をサポートしている。
 現在世界21カ国がこのプログラムに加盟しており、JOIDES Resolutionの運航費は加盟国からの分担金により賄われ、過去30年に及ぶ米国主体の科学掘削計画を引継いで、全世界の海域にて調査活動を行っている。
 今回のODP事務局訪問では、JAMSTECにおいて現在開発している地殻内微生物採取用の保圧コアサンプリングシステムに関する意見交換を行った。
1.5.3 Perry Slingsby Systems 社
 Perry Slingsby Systems社は2000年3月にPerry Tritech社とSlingsby Engineering社が合併して設立された企業であり、現在は米国フロリダ州とイギリスに工場を持つ、世界有数の無人潜水機の開発企業である。海洋石油開発業界や海底ケーブル通信会社、防衛、原子力など海洋関連の企業からの注文により、様々なROVを生産している。
 今回の訪問では深海地球ドリリング計画において運航する地球深部探査船にも、海中作業用ROVを搭載する予定であるため、海洋石油開発で使用しているROVの現状技術についての意見交換や工場内の製造設備の見学を行った。
1.5.4 International Submarine Engineering Ltd
 I.S.E.社は1974年カナダバンクーバー州に設立された有人・無人探査機の開発企業である。海洋科学調査、防衛、サルベージ、海洋石油開発や海底ケーブル通信会社など海洋関連の企業などからの注文により、様々なROVを生産している。
 今回の訪問ではPerry Slingsby Systems社訪問時と同様、海洋石油開発で使用しているROVの現状技術についての意見交換が中心であったが、AUV(Autonomous Underwater Vehicle)や海難救助用ボートなどの説明を聞くことができた。








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