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はじめに
 今回の報告は漁船への安全検査を念頭に中国の漁船の現状・検査関係組織・検査の現状、検査規則等についてまとめたものである。
 
 直接のきっかけは2002年7月発効予定のSOLAS条約改正である。同改正により、これまで漁船を含む全ての船舶に統一的に適用されていたSOLAS条約第V章(航海設備)の規定が主官庁裁量となる。そのため漁船に対する航海設備の搭載用件が各国によって異なることが想定される。
 
 我が国の漁業従事者、特に遠洋マグロ漁船は、海外のマグロ漁船と激しく競合しており、他国政府が漁船の航海設備の搭載用件を我が国より緩和して定めると競争力に差が出てくる一因となる可能性もある。そのため今回の条約改正が競争力低下につながることを懸念する声が一部に有るほか、安全確保という観点からも各国の搭載要件については大きな関心が寄せられるところである。
 
 そこで、今回、搭載要件を含め中国における現在の漁船規則及び検査を取り巻く環境について取り纏めることとし、検査対象漁船、漁船検査担当部局、漁船の検査基準等についてまとめられた「漁業船舶法定検験規則(中華人民共和国漁業船舶検験局公布)」を、航海設備を中心にその一部を翻訳し内容を紹介することとした。
 
2002年3月
JETRO上海センター
舶用機械部 秋田・劉








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