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はじめに
 マレーシアをめぐる海上荷動き量は、長期的には着実に増加している。近年マレーシア海運の進展は著しいものがあり、マレーシアの保有船腹量は、この5年間に2.4倍増加し99年初で521万GTと、アジアでは韓国(569万GT)、台湾(549万GT)、香港(617万GT)に匹敵するほどの船隊規模を有するまでになっている。
 
 マレーシア政府は、産業政策マスタープラン(IMP)で造船業を「重工業と輸出振興を図る国策の重要な要素」で「マレーシア国家経済の拡大に伴う海上荷動きに対処するための重要な要素」と位置づけている。また、国民経済的には造船業がi)応用科学の分野における雇用機会の提供と国内労働力の技能向上や、ii)鉄鋼、機械工業製品、電気製品、化学製品等広範な製造業製品と、各種の専門サービスに対する直接需要を創出することによる関連産業の成長などに重要な役割が果たせるとしている。
 
 しかしながら、このように位置づけられている造船業であるにもかかわらず、その実状については、シンガポールに隣接しVLCCドックや巨大シンクロリフトを有するマレーシアシップヤードや、ボルネオ島サバ州にあるサバ造船所が知られるぐらいで、マレーシア全土で70以上あるといわれるその他の造船所の規模、特徴などの実態はあまり明らかでない。
 
 このため、造船業と密接な関係の有るマレーシア海運業の現状及びその産業政策、造船業についての産業政策並びに各造船所の実態について資料を広く収集し、整理することにより、今後の経済協力案件としての船舶の供与、現地の実状にあった技術支援などの国際協力や、我が国舶用機器メーカー等の参入のための基礎資料を得ることを目的とし調査した。








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