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付録−2
政府は産業常任委員会第4報告書に対する回答を発表した。その内容は以下の通りである。
 
政府側の回答 (カナダ産業省)
 
29. カナダ政府は、米国ジョーンズ・アクトの廃止を求めるか、カナダ建造、カナダ人配乗、カナダ修理の船舶に例外を与えるように修正することを求める。
 
回答:
カナダは、「ジョーンズ・アクト」問題を二国間交渉、多国間交渉の両方で取り上げてきた。NAFTAにおける交渉では、米国議会はカナダが恩恵を被るような修正をするつもりは全くないことが明らかになっている。同様に、OECDにおける交渉も手詰まり状態である。WTOのコンテクスト内では、米国はジョーンズ・アクトに大幅な修正を検討する準備はないことが見てとれる。さらに、協議が再開したとして、米国は見返りとしてその他の分野で譲歩を求めるだろう。このように状況は厳しいが、カナダ政府はカナダ造船業を支援するために、「ジョーンズ・アクト」改正を今後も継続してプッシュする。
 
30. カナダ政府は、造船産業関係者に相談し、専門市場を獲得するにおいて造船業者を支援する産業政策を採用、改良する。
 
回答:
カナダの造船業に関するいくつかのフォーラムで最近盛んに議論が交わされている。産業、財政、国防、復員軍人委員会はすべて、造船業に関する公聴会を開催してきた。また、Antoine Dubeのprivate member's法案である法案C−213は財政委員会に付託され、審議が行われる。加えて、産業大臣とカナダ産業省関係者により、様々な造船関係者とのミーティングが継続して行われている。
 
これらの議論を通して、造船産業がカナダにおいても、世界においても、複雑かつ常に進化を続ける産業であることが確認された。アジアの造船業(専門市場により焦点を絞っている)ですら、海上輸送の現状を反映して、下降線を辿りつつある。また、カナダ及び外国の造船業に関するトレンド及び事実の認識について、関係者の間で大きくばらつきがあることが判明した。造船業の現状に対する見解は、政党間、造船事業者と船主、時には造船事業者と労組の間で大きく違っている。しかし、造船雇用が労働者及びコミュニティにとって重要だという点で議論は共通している。
 
連邦政府が現在、造船産業に相当な支援を行っていることを指摘することは重要である。これには、政府による国内調達、NAFTA圏外からの船舶輸入に対する25%の関税、カナダ建造、カナダ籍船を購入した場合、4年間で船舶のコストを減価償却することを認める資本コスト引当金制度が含まれる。この引当金制度は、外国建造船に認められている15%の減価償却率を大きく上回っている。
 
加えて、1986年から1994年の間に、連邦政府は1億9,800万CADを、造船業界主導による合理化努力に投入した。この合理化政策により、現在の造船市場の展望に適した産業となった、とカナダ造船工業会は指摘している。
 
造船業には、この他にも貿易及び革新に対する政府のプログラム及び政策が適用される。技術革新支援としては、Institute for Marine Dynamics、テクノロジー・パートナーシップ・カナダのサービスを受けることができる。国際貿易においても、いくつかのプログラムが支援を提供している。これは直接、国内競争力につながるものではないが、より健全でよりダイナミックな産業に寄与している。これらのプログラムには、輸出開発公社による輸出融資、外交国際通商省による国際市場への競争的アクセスの援護、カナダ商業公社のサービスへのアクセスが含まれる。
 
しかしながら、連邦政府は造船産業部門における状況の変化の徴候を常に理解し、関係者との会話を継続するものである。
 
この点において、産業省は現在、造船産業関係者の代表からなる委員会と包括的な協議を行う過程を実施中である。この協議の目的は:
 
■ 産業常任委員会の提言に対して産業省が応答することを助ける。
■ 会話と情報の共有を通して、造船業が直面している事実とトレンドの共通の理解を育てる。
■ 国内、国際市況の現実に造船業がなじむのを助けるような各種の機会について話し合う。
これらの情報が展開するにしたがい、政府、業界支持者、労組を含む全ての関係者が、今後、造船業が向かう方向に対し、より効率的に対処する情報と能力を備えることになる。








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