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2. カナダ造船業の近年の動向
 1990年から1998年の間に、カナダ船舶造修業1の売上高2は16億CADから5億CADに激減し、製造付加価値3も7億CADから、4億CADへほぼ半減している。同時期に造船雇用レベルは3分の1に低下し、約12,000人から約4,000人となった。
カナダ造船業の総売上げと製造付加価値の推移
1990−1998 (単位:10億カナダドル)
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カナダ造船雇用の推移
1990−1998
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出典:カナダ産業省、カナダ統計局、1998年の数字はカナダ産業省による推定
米国造船業との比較
 米国造船業と比較すると、同時期の米国船舶造修業の売上げは、148億CADから200億CADへ35%増加、製造付加価値はほぼ横這いであり、雇用レベルは、約30%減であった。
 
米国造船業の総売上げと製造付加価値の推移
1990−1998 (単位: 10億カナダドル)
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出典: 米国商務省(カナダドルに換算)
 
米国造船雇用の推移
1990−1998
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運輸機器産業におけるカナダ船舶造修業部門
 1998年に運輸機器産業の生産高は1,036億CADであり、1990年から1998年の間に9.3%の成長を遂げている。1998年にカナダ船舶造修業部門は運輸機器産業全体の売上高の約0.4%を占めた。運輸機器産業部門(航空機、自動車、トラック/バス、自動車部品、鉄道、造船、ボート、その他)のうち、1990年から1998年には造船産業のみがマイナス成長となっている。
カナダ運輸機器産業部門成長率
1990−1998
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出典: カナダ統計局、カナダ産業省
 
カナダ造船業の設備投資
カナダ造船業の設備投資額は1990年の4,660万CADから1998年には1,520万CADへと減少した。一方、米国造船業では、1990年に3億310万CAD、1998年に3億3,670万CADであった。
カナダ造船業年間資本投資額の推移
1990-1998(単位100万カナダドル)
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カナダ造船国内市場
カナダの船舶造修産業の見かけの国内市場4は1990年の17億CADから1998年には6億CADに落ち込んだ。1990年から1998年の間に、カナダ国内市場は見かけ上年間16%縮小したことになる。
カナダの造船業の見かけ国内市場規模の推移
1990-1998(単位:10億カナダドル)
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出典:カナダ統計局
 
カナダ輸出造船市場
 1998年に、カナダ船舶造修産業の輸出高の91.8%は米国向けであった。エクアドル(2.7%)、ドイツ(2.2%)がこれに続いている。対米輸出については、1990年の2,940万CADから、1998年には、1億390万CADへと、3.5倍に増加している。一方、対カナダ船舶輸出国としては、韓国が格段のトップであり、これに米国、中国、スウェーデン、ノルウェーと続いている。
カナダ船舶造修産業対米輸出高の推移
1990−1998(単位100万カナダドル)
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出典:カナダ統計局・カナダ産業省
カナダ造船業の労働生産性
 カナダ船舶造修産業の生産性を米国のそれと比較するための一つの目安として、製造付加価値を雇用数で割った、従業員一人当たりの製造付加価値を算出した。これによると、米国、カナダ共に労働生産性は向上しているが、全体的にカナダは米国を上回っていることになる。
従業員一人当たりの製造付加価値
1990−1998(単位1000カナダドル)
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出典:カナダ統計局、カナダ産業省








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