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4)試験結果
(1)廃食用油の燃焼経過
 遮熱エンジンにおける廃食用油の燃焼経過を明らかにするために、水冷エンジン相当の条件における燃焼経過と比較した。水冷エンジン相当の燃焼経過を図3・20に、遮熱エンジン相当の燃焼経過を図3・21示す。観察結果は以下のようにまとめられる。
 
○水冷エンジン相当
・ 着火遅れ:1.0ms
・ 着火送れ期間中に燃料噴霧が連絡口に到達。一部主室に流出。
・ 着火は噴霧の根元、ノズル近傍。噴霧の進行方向に火炎発達。副室上部に未利用空気。
・ 先に主室に流出した燃料に着火。その際、燃焼ガスが副室に逆流し、主室の燃焼が一時停滞。
・ その後、副室の燃料が主室に噴出、燃焼する。輝炎は早く消滅する。
 
○遮熱エンジン相当
・ 着火遅れ:0.4ms
・ 着火は噴霧の根元、ノズル近傍。着火時の燃料噴霧の到達は副室中ほど。約20数mm。火炎は噴霧の発達にともなって噴霧先端に向かって進行。
・ 着火直後の副室内の燃焼は高温容器での燃焼と酷似しているが、ノズル近傍周辺にも火炎存在。圧縮行程中の空気流入により燃料が分散されたため。
・ 副室上部に未利用空気が存在。
・ 主室に噴出した火炎は主室で再燃焼。その際、主室の燃焼ガスが副室に逆流し、主室の燃焼が一時停滞。
・ 副室の燃焼ガスが再び噴出するが、噴出したガスは燃焼室外周に到達し、火炎は燃焼室全体に広がる。
・ 燃焼後期では、火炎は燃焼室外周から中心に向う流れが形成。シリンダに到達した噴流がシリンダ壁で反射したため。
・ 輝炎は長期間観察され、実機における熱発生率における燃焼後期の緩慢な燃焼を説明している。
 以上のように、廃食用油を燃料とした遮熱エンジンの燃焼は、短い着火遅れと長い燃焼期間が特徴であり、これは軽油を燃料とした一般的な遮熱エンジンの燃焼特性とほぼ同様となっている。
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図3・20 燃焼写真
 

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図3・21 燃焼写真
 
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図3・22 燃焼写真
 









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