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1 宮崎康久家住宅 
台帳番号91
白土町1084
 
概要 現当主康久氏は昭和34年にこの住宅に移り住み、それ以前この建物は下田家の所有であった。
 敷地は南北に往来する島原街道の東側に位置する。主屋は街道沿いに西面して建ち、北側を上手とする。主屋主体部分は桁行6間半(12.8m)、梁間3間半(7m)、切妻造桟瓦葺き平入で、つし二階建である。正面下手半分は1間半の下屋をおろし、正面上手は2畳の部屋を突出させる。この部屋は下田氏の時代まで仏間として使用していたことが聞取りでわかっている。この仏間と下手下屋の間は坪庭をつくり腰板土塀で囲み、街道に面して門を開き、仏事のときにのみ使う。主屋背面は上手半間、下手1間の下屋を下ろす。外壁は大壁造漆喰塗りで、軒裏は波型に塗込める。
 主屋主体部分の間取りは床上部分と通り土間部分に分かれ、床上は表側2室、裏側3室の間取りを基本とする。主体部から張り出して上手表に2畳の部屋、下手表に取り付く下屋は店とする。
 主屋上手と下手では、後世の建替えにより建築年代が異なる。下手側が新しく棟札から大正6年とわかった。上手側は和釘を使用し、仏間を正面に突出するなど古い要素を残すため、江戸末期の建物と考えられる。
 
特徴 宮崎康久家主屋は大正6年に上手半部を残し下手半部を建替えた。一階は上手側の古い形式に倣って造っているが、二階は1列目と2列目の部屋境から小屋組の形式に新旧の違いがみえる。
 街道に面した屋敷構えは島原町家の独特な古い形式を残す。特に正面上手に突出した仏間は、キリスト教弾圧という歴史背景のなかで発展した特徴として、建築史的にも宗教史的にも注目すべき観点である。
 
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宮崎康久家








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