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第二章 町家と町なみ調査の概要
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上 平成12年10月調査風景
下 左から長谷部、望月、星野フサエさん、元井、江島
 
1 調査のきっかけ
 島原市の武家屋敷の町なみが、よく残っていることは以前に一度見学したことがあったので知っていた。しかし、市内の庶民住宅である農家や町家がどのようなものであるかは知るよしもなかった。市の歴史的建造物や湧水などを撮影していた建築写真家三沢博昭さんから、島原には武家屋敷だけでなく、町家に質の高いものが多くある、一度調査してみないかという話があった。1999年の建築修復学会の大会は、夏8月に長崎県五島列島で開催された。このときも島原の民家の話に華が咲いた。学生たちとも話して、その後9月末に島原を訪れた。このときに珍しい造りの民家があると、すなわち、17世紀に始まるキリシタン弾圧の痕跡を伝えているのであろうという民家の存在である。このことを三沢さんから示唆された。つまり、接客座敷から表の道路に向かって仏間を張りだして目立つように造っている民家である。これには興味がつのった。現地を実見しこの地域の町家調査を実施する気持ちになったのである。
 そこでどのように資金を調達し、どんな組織を組んで調査を実施するか思案した。結果として、島原市から財団法人日本ナショナルトラストの観光資源保護調査に応募してもらうこととした。幸いにしてナショナルトラストの調査対象として採用された。現地調査をどのような調査員ですすめるか。このことは、すでに五島列島での建築修復学会の大会にいたときから考えていた。長岡造形大学の卒業生と卒業研究にあたる学生たちを動員しよう。








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