日本財団 図書館


4. 今後の近畿圏における鉄道整備の基本的な方向
4-1 国土計画等上位計画の概要
(1) 新全国総合開発計画(21世紀の国土のグランドデザイン)平成10年3月
 【計画年次:2010〜2015年】
 
○国土をめぐる諸状況の大転換
 国民意識や時代の潮流の大きな転換が生じつつあり、21世紀の国土をめぐる諸状況がこれまでと大きく異なっていくことが予想される。
[1] 国民意識の大転換(心の豊かさ重視、自由な選択と自己責任の確立、自然再認識、男女共同参画)
[2] 地球時代(地球環境問題、地球規模での食料・エネルギーの供給制約の表面化の可能性、国境を越える地球間の大競争)
[3] 人口減少・高齢化時代(21世紀初頭以降の人口減少や高齢化、それに伴う経済成長率の低下と投資余力の減少)
[4] 高度情報化社会(地球規模での時間・距離の制約の克服)
 
○国土構造転換の必要性
[1] 国土が抱える諸問題
東京を頂点とする太平洋ベルト地帯に人口や諸機能が集中している現在の一極・一軸型国土構造→経済社会構造の諸問題の顕在化等
[2] 21世紀への展望を開く国土構造の転換
国土構造形成の流れを太平洋ベルト地帯への一軸集中から東京一極集中へとつながってきたこれまでの方向から明確に転換することが必要
 
○多軸型国土構造の形成
[1] 21世紀の国土づくりの考え方
・東京を頂点に「中枢性」と「依存性」の関係を作り出した都市間の階層型構造を「自立」と「相互補完」に基づく水平的なネットワーク型へと転換
・生産、流通、消費を支える機能だけでなく、自然環境を保全・回復する機能、新しい文化生活様式を創造する機能を兼ね備えた多様性のある地域づくりを志向
・地球社会の一員としての地域という視点から各地域の国際交流機能を構築
[2] 国土軸形成の方向
・複数の新しい国土軸が相互に連携することにより形成される多軸型の国士構造を目指す。
・北東国土軸
・日本海国土軸
・太平洋新国土軸:沖縄から九州中南部、四国、紀伊半島を経て伊勢湾沿岸に至る地域及びその周辺地域
・西日本国土軸:太平洋ベルト地帯とその周辺地域
[3] 各国土軸において目指す方向
・新しい国土軸:小規模でまとまりのよい都市が交通、情報通信基盤で結びつけられた都市系ネットワークと美しい田園、森林等を通ずる自然系ネットワークが重層的に共存し、それぞれに魅力を持つ都市と農山漁村の連携の下で、ゆとりと利便性をあわせ享受することができ、歴史と風土の特性に根ざした新しい文化と生活様式が生まれ、特色ある付加価値の高い産業を有する地域
・太平洋ベルト地帯は、過密に伴う諸問題が解決され、より魅力的な産業を有する地域国土軸を構成する地域はそれぞれに世界に開かれ、近隣諸国との密度の高い交流が活発に展開
 
○交通、情報通信体系の整備に関する施策
[1] 国内交通体系の整備
・幹線鉄道の高速化と都市鉄道の混雑緩和に重点を置いた鉄道の整備を推進。これらにより国土の骨格となる基幹的な高速陸上交通網、地域交通網を形成。
 
(2) 近畿圏基本整備計画(第五次)平成12年3月【計画年次:2015年】
○近畿圏の将来像
[1] 強くてしなやかな産業経済圏域の形成
[2] 内外から人々が集う交流・情報発信圏域の形成
[3] 文化・学術の中枢圏域の形成
[4] 歴史文化や自然と調和した安全で快適な生活空間の形成
 
○目指すべき圏域構造
[1]多核格子構造
・ 各都市・地域が核なることを目指し、それらが散りばめられた「多核」である近畿圏を形成する。
・ 各都市・地域間の重層的な連携により圏域各地域で「連携軸」を形成する。
[2] 多核格子構造の意義
・ 圏域の一体化の中で、人々の生活と産業の活力が再生され、さらに近畿圏全体の再活性化が実現する。併せて災害時の機能の代替性の確保を可能とする。
・ 水平的なネットワークの中で、各都市・地域は、個性を活かした地域づくりが可能となり、多様性を持った近畿圏が実現する。
・ 圏域外へのネットワークの広がり、また、近畿圏各地から海外へのネットワークによって、近畿圏は一体となって他圏域、さらには国際的な連携、交流の活発化が実現する。他圏域との連携、交流の強化は、ひいては、日本海国土軸、西日本国土軸、太平洋新国土軸の形成に寄与し、さらには我が国を「多軸型の国土構造」へと導く。
 
○近畿圏整備の主要施策
・ 大都市のリノベーション
・ 近畿新生のための産業の新たな展開
・ 内外との様々な交流の推進
・ 懐の深い文化・学術の創造
・ 環境と調和した地域の形成
・ 地域特性を踏まえた安全で快適な生活空間の形成
・ 圏域を支える交通・情報通信体系の整備と今後の社会資本整備
→連携、交流を支える交通体系の整備
・ →関西国際空港、国際港湾等の整備、これらと圏域全体とのアクセス性を高めるための交通体系の整備、道路、鉄道等交通体系の整備の推進
→情報通信体系の積極的な活用と整備
→効率的、効果的な社会資本整備の推進
 
(拡大画面: 123 KB)
z4004_01.jpg
※近畿圏の各都市・地域は個性が輝く「核」となることを目指す。上図では人口等の大きな都市・地域を揚げた。
図 4-1-1 近畿圏基本整備計画 (第五次) 多核格子構造のイメージ
 
(拡大画面: 101 KB)
z4005_01.jpg
図 4-1-2 国土総合開発計画、近畿圏基本整備計画と鉄道整備計画の流れ








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION