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II. 舶用機器生産・貿易動向
1. 舶用機器生産動向
(1) 舶用機器生産の推移
 本調査研究の調査、予測対象舶用機器とその定義は表のとおりである。なお、ここでいう生産とは国内造船所向け生産、海外単体輸出向け生産を指す。
表:調査対象舶用機器一覧
調査対象品目 舶用工業統計年報における製品名 単位
ディーゼル機関 主機関 主機 千PS
補機関 補機 千PS
ポンプ ポンプ 百万円
電気機器 発電機(直流・交流) 同左 千KW
電動機(直流・交流) 同左 千KW
クレーン デッキクレーン 百万円
ハッチカパー *生産、貿易データは業界値による 百万円
プロペラ 固定ピッチプロペラ 同左 トン
可変ピッチプロペラ
(CPP)
同左 百万円
航海用機器 航路計画・保持 電波計器 (除レーダー)+航海計器 (除魚群探知機) 百万円
航行・航路監視 レーダー 百万円
無線機器 無線通信・船内通信装置 百万円
漁労用機器 魚群探知機 百万円
機関室補機 配電盤+起動機+空気機械等+油処理装置+熱交換器+ボイラー 百万円
注:主機関は500PS以上に限定し、500PS未満の主機関は調査対象から除外する
 各舶用機器の生産実績は次のとおりである。
表:舶用機器の生産動向(1)
  ディーゼル機関 ポンプ 電気機器
主機関 補機関 発電機 電動機
単位 PS PS 百万円 千KW 千KW
1990 5,163,401 1,027,940 11,074 2,214 804
1991 5,080,417 1,195,487 14,072 1,110 835
1992 5,135,215 987,818 17,953 991 735
1993 5,630,749 944,733 13,914 997 981
1994 6,180,521 1,095,478 12,278 953 750
1995 6,762,578 1,201,726 13,067 1,099 844
1996 6,480,801 1,298,806 12,259 1,119 862
1997 7,160,507 1,497,828 12,859 1,236 1,050
1998 7,565,497 1,448,766 14,760 1,179 1,018
1999 6,252,026 1,178,100 12,130 1,084 873
2000 5,669,132 1,296,566 11,235 1,229 833
表:舶用機器の生産動向(2)
  クレーン ハッチ

カバー
プロペラ 航海用機器
固定ピッチ
プロペラ
可変ピッチ
プロペラ
(CPP)
航路計画 ・
保持
単位 百万円 百万円 トン 百万円 百万円
1990 7480 - 6399 4119 12396
1991 7768 - 7243 7248 13775
1992 9476 - 6454 4069 15557
1993 8496 - 6852 4053 10873
1994 9589 12975 6975 4678 9958
1995 16817 12388 7373 2890 9641
1996 17059 15661 9256 2671 7962
1997 21256 18335 7799 4529 9827
1998 17086 18666 9790 3961 8195
1999 12831 13570 9084 2025 5339
2000 12610 12060 9817 3621 5,259
 
  航海用機器 機関室補機
航行・航路
監視
無線機器 漁労用機器
単位 百万円 百万円 百万円 百万円
1990 19,851 16,237 10,117 47,387
1991 17,835 14,753 9,112 40,280
1992 17,404 15,808 9,548 44,933
1993 14,357 12,387 5,647 39,288
1994 14,543 12,417 5,809 32,868
1995 16,318 12,855 6,638 32,934
1996 15,768 17,516 7,373 29,001
1997 15,149 17,312 8,104 34,130
1998 16,452 17,388 6,544 36,295
1999 13,139 10,699 6,109 32,699
2000 11,109 5,322 6,489 28,129

資料:(社)日本舶用工業会/舶用工業統計年報、ハッチカバーは業界値による推計値を採用
(2) 航路計画・保持、航行・航路監視、無線機器の各統計の留意点と補正方法
 前述の舶用製品の生産動向の中で、特に、航路計画・保持、航行・航路監視、無線機器の各機器の生産実績が足元で大きく減少している。このうち、航路計画・保持、航行・航路監視の減少は、電波計器の大幅な生産減少によるものである。
 他方、国土交通省編/舶用工業製品の輸出入状況(舶用機器の輸出入動向全般については後述する)によると、電波計器、無線通信・船内通信装置(=無線機器)とも、生産実績の減少に比べ、輸出入は相対的に大きな変化を見せていない。その結果、後述する内需(=生産−輸出+輸入)は足元で大きく減少する結果となるが、これは必ずしも業界の実態を示しているものとはなっていないと考えるべきである。
 このように、電波計器、無線通信・船内通信装置(=無線機器)の統計が業界実態と乖離がある恐れがある要因としては次表の項目が考えられる。
表:電波計器、無線通信・船内通信装置の統計の留意点
区分 留意点
生産 ・実需の減少
GMDSS関連装置義務付け(1998年)需要の反動による実需減
・OEM生産分の未反映
近年増加している国内・海外メーカーでのOEM生産が統計に含まれて
いない恐れ→国内OEM分については過小の可能性
・製品単価の下落
輸出 (実態を反映しており、問題はない)
輸入 ・海外OEM生産の輸入の未反映
海外現地生産の国内逆輸入分が統計に反映されていない恐れ→輸入
統計が過小の可能性

 そこで、電波計器、無線通信・船内通信装置については以下のようなかたちで統計に補正を加えている。
表:電波計器、無線通信・船内通信装置統計の補正方法
区分 補正方法
生産・輸出統計 統計値をそのまま使用
輸入統計 〔1〕過去の原単位を使用し、足元の内需規模を推計
〔2〕輸入=内需-(生産-輸出)により算出し、輸入量として採用する

 その結果、航路計画・保持、航行・航路監視、無線機器の各製品は、足元の輸入実績、内需実績に対して補正を行うこととなる。
 補正は現実的な方法として最も妥当な方法を採用したものであるが、依然として、生産統計が過少である恐れ、輸入統計が過大である恐れがそれぞれ残る点には留意が必要である。








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