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 図39に示すように、竹ノ浦の筏直下の泥中の窒素(N)量は、常にA、B層で窒素量が多く、約3〜4mg-N/g乾泥を示し、12月にA層で最高値4.8mg-N/g乾泥と非常に高い値を示した。しかし、最下層のD層は0.45mg-N/g乾泥と非常に低い値であった。筏周辺の泥中の窒素(N)量(図40)は、全ての層で窒素量の値が約0.5mg-N/g乾泥以下と低かった。
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図39.竹ノ浦の筏直下の泥中の窒素(N)量
 
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図40.竹ノ浦の筏周辺の海底の泥中の窒素(N)量
 
 図41に示すように、竹ノ浦の筏直下の泥中の炭素(C)量は、常にA、B層で多く、20〜30mg-C/g乾泥であった。12月にA層で最高値(32.3mg-C/g乾泥)を示し、また、最も下層のD層は4.3mg-C/g乾泥と非常に低い値であった。筏周辺の泥中の炭素(C)量(図42)は、全ての層で6.3mg-C/g乾泥以下と常に低い値であった。
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図41.竹ノ浦の筏直下の泥中の炭素(C)量
 
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図42.竹ノ浦の筏周辺の海底の泥中の炭素(C)量
 
 竹ノ浦の筏直下の泥中の硫黄(S)量を図43に示した。窒素量、炭素量の傾向と同様に、硫黄量はA、B層で常に約5mg-S/g乾泥前後と非常に多く、12月にA層で最高値(7.0mg-S/g乾泥)を示した。D層の硫黄量は1.2mg-S/g乾泥と非常に少なかった。一方、筏周辺の泥中の硫黄(S)量(図44)は、全ての層で少なく12月にはほとんど検出されなかった。
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図43.竹ノ浦の筏直下の泥中の硫黄(S)量
 
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図44.竹ノ浦の筏周辺の海底の泥中の硫黄(S)量
 
 水産用水基準では、底質中の硫化物は0.2mg/g以下と定められている。本研究では舞根湾の海底の泥および竹ノ浦の筏直下の泥でこの値を大幅に上回った。しかし、本研究では泥の採取方法と分析方法が一般の調査と比較すると精度が非常に高いために測定値が高くなった可能性も考えられる。
 底質分析の結果より、舞根湾の海底は、筏の直下および筏の周辺海底ともに非常に細かい粒子の泥が堆積しており、さらに本研究で採取した堆積物の下層まで窒素、炭素を多量に含有していたことから、海底に有機物が長年にわたって蓄積していることが明らかとなった。また、硫黄も多量に存在していることから、底質中では嫌気的な分解が進行していたと考えられる。
 一方竹ノ浦では、実験用の筏周辺の海底は酸化還元電位や窒素量、炭素量、硫黄量の分析結果からも底質は悪化していないことが明らかになった。しかし、東北大学の筏直下については、泥は黒色で硫黄臭が強く還元状態であり、窒素量や炭素量、硫黄量も多く、底質が非常に悪化した状態であることが明らかとなった。しかし、今回採取した堆積物の下層では周辺の底質と同様の窒素量、炭素量、硫黄量であったことから、海底表層から15〜20cm程度の底質の悪化は、筏から落下した有機物や垂下されている生物の影響によるものと考えられる。
 この東北大学大学院農学研究科水圏動物生理学分野の筏では、研究用の二枚貝類などを主に篭に収容して垂下しているので、竹ノ浦の漁場の海底とは条件が異なっている。このため、この筏下の環境は竹ノ浦の漁場の海底環境にはあてはまらない。実際の漁場については調査していないので不明である。








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