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海と船の関係に関するプログラム
「海と船について」
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1.ふね(船・舟)
【日本を支える船のはたらき】
 四面を海に囲まれ、資源の乏しい日本にとって諸外国との貿易はとても大切です。日本の年間輸入量(1997年資料):約7億6千万トン、輸出量:約1億トンが示すように、とくに食料・原材料の大部分や石油・石炭などのエネルギー資源は海外に依存せざるを得ないのが実状です。 このように国民生活の維持・向上や日本経済に欠くことのできない物資・資源の輸送にさまざまな船が大きなはたらきをしているのです。
 
1.1 船の生い立ちは?(丸木船から電磁推進船)
 私たちが住んでいる地球には、海と陸とがあります。海の面積は、地球の表面積の約70%。海は陸よりも広くしかも陸の2.5倍近くあります。その海より狭い陸にも、大小さまざまの河川や湖がたくさんありますから、この世界は陸の世界というよりは、海の世界と言えるでしょう。
 地球の推定年齢はおよそ46億年、その地球上に人類が現われたのは大昔のこと。人々は、初め、海、河、湖などのような水のそばに住んでいました。人々が生きるためには、それらの水を渡ったり、そこで物を運んだり、または、そこで魚を捕る必要があって、そのためには、水に浮かんで身体を支え、さらに移動することのできる乗り物が必要でした。大昔、水のそばに住んでいた人がその岸に立って、水を渡る方法について思案しているとき、流れる木片を見て、それが浮くことを知りました。すなわち、木片にヒントを得て、それにつかまって泳ぐようになったのが、「船の思いつき」とされています。(下図)
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1.2 どんな船があるの?(船の種類)
 一口にふねと言っても、用途別に示すと次のようにいろいろな種類の船があります。航海中にどのような種類の船を見ましたか?
◎商船
○貨物船○一般貨物輸送船(雑貨船)
○専用貨物輸送船(専用船or兼用船)
コンテナ船/鉱石運搬船/ばら荷運搬船/チップ運搬船/自動車運搬船/木材運搬船/石炭運搬船/セメント運搬船/冷凍貨物船/原油輸送船(タンカー・タンクシップ)/製品輸送船/液化石油ガス運搬船(LPG船)/液化天然ガス運搬船(LNG船)/はしけ運搬船(LASH船)/等
○客船・旅客船 フェリーボート/RORO船
◎特殊船
見本市船/砕氷船/練習船/海底電線敷設船/消防船/消防艇/曳船/救助船/給水船/クレーン船/浚渫船/砕岩船/杭打船/海洋調査船/税関監視船/気象観測船/海中作業実験船/水先船/巡視船/巡視艇/自衛艦/等
◎漁船
遊漁船/トロール漁船/魚群探索船/網船/鮮魚運搬船/等
 
1.3 船はどうして水に浮くの?/船の大きさは?(長さ、幅、深さ、トン数等)
1.3.1 船はどうして水に浮くの?
 水の中の物体にはそれが排除した水の重さ(重力)に等しい浮力が働きます。この原理の発見者は紀元前250年頃のギリシャの科学者アルキメデスです。
 今ここに1kgの鉄球があったとすると、その体積は約127cm3になります。これを水の中に置くと、そこには1kgの重力と約0.127kgの浮力が働き、重力の方が大きいので、鉄球は沈んでしまいます。
 ところが、この鉄球をバスケットボール大にふくらませると、中に2kgの砂を入れても半分ほど水面に顔を出します。この時、水面下の体積は約3,000cm3で3kg重の浮力を生じ、重力3kgとつりあっています。ですから、船体を大きくして水面下の体積を増やすと、船は重いものも運べるというわけです。
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1.3.2 船の大きさは?(長さ、幅、深さ、トン数等)
 身体の大きさは、○体重、○身長、○胸囲、○座高 等で表されることは、ご存知でしょう。船の大きさ、サイズも身体の大きさを表す方法と同じように、
○長さ(全長、垂線問長等)
○幅(全幅、方幅等)
○深さ(深さ、喫水/ドラフト〈draught〉、乾舷/フリーボード〈freeboard〉、水線高さ/エアードラフト〈Air Draught〉)
○トン数(総トン数、純トン数、載貨重量トン数、排水トン数等)等で表されます。
 
1.4 船にはどんな設備があるの?(居住・衛生設備、救命・消防設備、機関等)
 船は、水に浮かび、あるスピードで移動します。船は、貨物を積み、旅客を載せ、また、特殊な役目につきますから、そのしくみはとても複雑です。船の目的を達成するために、その複雑なしくみを円滑に作動させながら、船体や機関のほか次のようにさまざまな設備が船にはあります。
○居住設備 ○衛生設備 ○脱出設備 ○操舵設備 ○係船設備○揚錨設備 ○航海用具 ○荷役設備(揚貨装置・遠隔荷役装置等)○発電・変電設備(発電機・蓄電池・変圧器) ○電気設備(非常電源等)○配電設備(配電盤・配電器具・電路・電線) ○動力設備 ○照明設備○無線電信等 ○通信・信号設備○特殊設備(昇降設備・焼却設備・コンテナ設備・その他の特殊設備)
 
1.5 船はどこにいるの?/船はどこを走るの?(航路標識、海図、船の位置等)
1.5.1. 航路標識・海図−海の道しるべ−
 港のみえる丘や海辺の山から海を眺めると、大小様々な船がスイスイと勝手気ままに走っているのを見ることができます。しかし、海には浅瀬や暗しょうなどの危険なところもあって、どこでも勝手気ままに走れるわけではありません。船がこのような危険なところさけて、安全に走れるように、海にも陸上の道路に似た航路(船の通る道)があります。しかし、この航路は陸上の道路のように目には見えません。それで航路の安全をはかるには、海図という海の案内書きが必要になります。そして、自分の船が今その海図の上のどこにいるかを知らなければなりません。この自分の船の居場所を正しく知って安全に航海するための海の道しるべを、航路標識といいます。
 航路標識には、目に見える光や色や形を利用した光波標識、霧信号所といわれる音(音波)を使った音波標識、電波を使った電波標識、そのほかのものがあります。
 これらは、みんな航海の安全になくてはならない船の道しるべです。
 



光波標識 灯台、灯浮標、灯標、照射灯、導灯など
音波標識 霧信号所
電波標識 ロラン、無線方位信号所など
そのほか 船舶通航信号所、潮流信号所など
 
昔は、灯台や霧信号所がほとんどで、しかも灯台の数がはるかに多かったので、航路標識といえば灯台というくらい、灯台は今でも人々に親しまれています。しかし、近年は電波・通信の技術がとても進歩し、航路標識の分野にもたくさんとり入れられて、航路標識は重要な役割をになっています。
 
1.5.2 船位測定 船が海のどこを走っているのか知らないと、乗揚げたり、ほかの船と衝突したり、とても危険です。そこで、船がいる場所を測ってその場所を知ること(船位測定)が大切です。現在では、衛星からの電波を利用するGPS(“ジーピーエス”/Global Positioning System)という「電波航法」の仕組みによって、天候に左右されない、24時間いつでも利用できる、大変精度の良い位置を知ることができるようになりました。自動車にも使われる“カーナビ”という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、この仕組みもGPSです。
 GPSが発明されるまでは、太陽や星を利用した「天文航法」、灯台や山頂という陸上の判りやすい物標を利用した「地文航法」によって、また、「電波航法」でも衛星を利用しない方法によって船の位置を決めていました。








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