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健康は医者と二人三脚で
保健婦 安富 トキ子
 
 医師と患者の間で一番大切なのは,信頼関係です。
そこで考えてみたいのが,医師へのかかり方です。
「3分診療」の現実の中で,患者として心得ておきたいことがあります。
要領よく話す
−あらかじめ次のことをメモしておきましょう−
[1]どこがどのように悪いのか一たとえば,頭痛といっても,頭のどこが痛むのか,重いような痛みなのか,ズキズキするのかなど痛みの性質を伝えることが大切です。
[2]その症状はいつから始まったのか一症状が始まった時から,受診の日までの経過を順序よく伝えることで,医師は効率よく全体像をつかむことができます。
[3]過去に病気をしたことはないか一現在の病気を診断するのに,昔の病気が重大な意味を持つことが多々あります。子供の頃から現在までの既往症や,重い病気,手術などの経験を要領よくまとめておきましょう。
[4]医師にかかったことがあるか一同じ症状で以前にも診療を受けたことがあれば遠慮せずに,どのような検査を受け,どのような診断を受け,治療を受けていればその内容も伝えましょう。たいへん貴重な資料になります。
重複検査や重複投薬は危険です
 一人の人が3つ4つの病気をもっていることも多くなってきています。たとえば糖尿病,狭心症,腰痛症をもっている場合は,それぞれの専門医に診てもらうことになります。その場合,医師は検査や投薬を指示しますので,重複検査や重複投薬が行われる可能性が高くなるのです。これは経済的にも負担(医療費はただではありません)になりますし,危険でもあります。服用している薬はすべて持参し,医師と率直にご相談ください。
病気とその治療を理解する
 どんな検査を受けるのか,なぜその検査を受けるのか,その危険性や副作用はどのようなことがあるのか。その治療を受けることによる成功率はどのくらいであるのか,他に方法はないのか。
 このようなことについて十分な説明を受け,納得した上で治療を受けていましたか。根掘り葉掘り尋ねるのが目的ではありません。あなた自身が正しい知識と情報をもって,自分のからだ,生命にかかわる医療決定の主人公になることが大切なのです。
 一人ひとりが健康回復への治療を上手に受けながら,より健康的に生活する自覚をもつことが,ふくれあがった医療費の削減にもつながっていくのです。








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