医療技術が進歩するにつれて患者さんの心理的問題は多様化しています。また,精神疾患の患者さんも医療技術の進歩の影響を受けています。それが一般科に持ち込まれます。こうして精神症状についての取り組みは精神科に限ったテーマではなくなり,医療スタッフ全体に求められるようになっています。そのような視点で,今日の話を受け止めていただければ幸いです。

　透析治療を通してみてきたことは,これらの問題は慢性疾患には共通していることです。医療技術の進歩がもたらした光と影ということができます。

　そして,患者の心身の変化をいち早く気づくことが重要なテーマですが,そのためには専門分化させていく中で幅広い視野と知識を備えることが求められています。それと特異的なサインがあるわけではなく“いつもとは違う”ということから重大なサインを読みとるセンスを磨くことが求められているのです。