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III.看護計画(POSでは初期計画と言う)
 あくまでも、問題を解決するための計画である。看護計画の基本をマスターする。
1.看護計画とは(日本看護協会2000)
 看護を必要とする人の問題を解決するための個別的なケアの計画を記載したものである。(問題解決のための行為を明らかにし、記述すること。)
2.初期計画(Initial plan・イニシャルプラン)
Initial・イニシャルとは、「初めの、最初の」という意味である。
初期計画とは問題が発見された時点での、問題解決のための計画を立てること。
Dr.Weedは医師の初期計画は問題毎に、次のような診断、治療、教育の三要素から計画を立てるように提案した。
看護に活用する場合
#1.問題
1.診断計画(Diagnostic plan・D.P.)→アセスメント
下記のことをアセスメント(観察だけではない)
1)問題の原因を明らかにするために必要な情報を得る計画
2)問題の経過を評価する根拠となる情報(予測されることも含む)
:アウトカムをどのような情報で判別するか。
3)より、実際的な計画を必要とする。
2.治療計画(Therapeutic plan・T.P.)
1)問題を解決するための看護実践あるいは看護介入。具体的行為
2)起こりうる問題をも未然に防ぐ行為も含む
3.患者教育計画(Patient education plan・E.P.)
患者、家族への教育、説明。
(独立させるか、実践の中に含めるか。問題による。)
3.看護計画で大切なこと
 :「看護実践」には、医療行為も含まれる。
1)あくまでも患者の問題を解決するためのケア、具体的な看護行為を立案する。
2)患者の情報を活用した個別的な計画であること。
標準看護計画は、実行する中で、患者の情報を活用した個別的な計画への修正をする。
3)継続看護のためのコミュニケーションの手段である。(継続看護とは、時間・空間、その人にとって適切な時期に、適切な場所で、適切な人によってケアを受ける)
4)期待する成果が重要である.この成果達成に向けて看護を実行する。
5)標準看護計画は、2つのタイプがある。
(1)その一つは、診断名群(肺炎など)、治療群(胃切除術など)ごとの全体的な計画であり、クリニカルパスと同じ考え方である。
(2)もう一つは、問題毎の計画
 例 高体温 不安などの特定の問題毎。問題が特定できた場合に活用する。予測される問題をいくつもあげる必要はない。これらの標準看護計画には、起こり得る問題をも考え、スタンダードのケアを記載している。
6)看護計画の構成要素は、単純にする。
患者の問題 目標(あるいは短期目標) 問題解決のための具体的行為・活動情報欄などの重複は避けた方が望ましい。(スリム化には重複を避けることは必須)
  問題を解決するためのポイント
  4/24 #1.細菌性肺炎(右下肺野): 医師の指示に基づく行為 治療効果を高める.副作用を未然に防ぐ.安全に安楽に.
    4/24 #2.高体温 38度台の弛張熱の持続: 熱を下げる行為、水と電解質のバランスを維持する行為
    4/24 #3.軽度の呼吸困難 Sp02 87%(非効果的呼吸パターン): 酸素飽和度・換気・拡散のメカニズムを維持する行為
    一時的問題
    4/27 便秘→ 4/28 レシカルボン座薬で解決: 一時的問題は、計画不要 もしも、この問題が長期に継続する場合は、#をつけて計画を立案
7)患者の情報を活用した個別的な計画であること。
 標準看護計画は、実行する中で、患者の情報を活用した個別的な計画への修正をする。
(1)チェック・確認から評価へ
intake/outputのバランス評価 不足ならXmlを目標とするなどの記載
(2)問題解決のための行為を重視さらに、予防的行為も付記
例 薬物投与には、安全を確保する注意をも記載
 モルヒネXmg投与→便秘予防のために○○何mgを投与
 ジゴキシンXmg→カリウム値評価
例 高体温クーリングだけではなく、intake/outputのバランス評価結果による水分補給や熱の放散を促す行為が必要となる。
8)継続看護のためのコミュニケーションの手段である。(継続看護とは、時間・空間、その人にとって適切な時期に、適切な場所で、適切な人によってケアを受ける)
9)目標・期待する成果が重要である。この成果達成に向けて看護を実行する。
10)POSを導入し、経過記録を#を中心に記載している場合には、評価欄は不要である。SOAPノートは、問題の経過の評価を記載しているからである。
4.期待される成果/短期目標・アウトカムについて
 
 実行する看護は、問題解決すなわちアウトカムに向けて実行される。経過記録で問題の経過を書く場合には、このアウトカムに近づいているかどうかが記載の中心となる。問題を中心としてたSOAPノートのアセスメント(解釈・分析・評価)は、アウトカムヘの到達度を明らかにしようとするものでもある。問題解決アウトカムを目指している。このようなことからアウトカムの現実的な設定は重要な意味をもつ。
 前提条件として、抽象的な問題レベルでは、アウトカムは導けない。解決するべき問題を明確に表現することが、鍵となる。
1)目標・アウトカムとは
問題が解決された望ましい状況(問題をもっているその人に焦点を当て、個別的な問題解決のための行為を導くために設定する。)
患者の目標表現の工夫:RUNBAの活用
1.Real:現実的。解決すべき問題に直接関連している。
2.Understandable:理解可能。読んだだけでどのような行動変容を目指すか解る。
3.Measurable:測定可能。(数値、検査値)
4.Behavioral:行動的表現。観察可能な人間の反応・見たり聞いたり出来る。
5.Achievable:達成可能。患者の状態、能力が考慮され看護活動によって達成可能。
5.問題を解決するための行為・看護実践・看護活動(解決策・具体策)の選択・決定、記述について
 患者の問題の解決すなわちアウトカム・目標を得るために計画される具体的な看護行為・介入である。
6.看護計画の記録用紙
 看護計画の記録用紙も多様である。情報が重複するように作成されている用紙、一枚の用紙に一問題しか記載されない用紙などである。必ずしも一問題一用紙である必要はない。最低必要な構成要素は。問題(患者の問題)、短期目標・成果、具体的行為、評価日(特定に評価日を設定する場合と日々評価をすることが当然という考え方もある)である。
 経過記録をSOAPノートで記載している場合には、SOAPそのものが評価を記載しているので、評価欄は不要である。
例 看護計画表
(拡大画面: 12 KB)
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 問題をSOAPで記載している場合があるが、重複になる.また、時間を要する.
そのように記載する目的を明らかにし、目的が達成出来ているかを評価する。
7.計画を実行するシステムの開発
1)看護計画は、各勤務帯で実行するためのコミュニケーションの手段
ケア提供者はプランをもって、看護計画を見てケアを実行する。
2)看護計画は、患者の状況によって変化する。評価し、修正を加える。
3)問題および看護計画を見て、経過記録を記載する。
どのような看護実践を行ったか、アウトカムとして何を観察するべきかが看護計画には記載されている。








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