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第2回 国土保全等の観点からの農山漁村集落の維持・再編に関する調査研究委員会(討議要旨)
平成13年10月2日(火)〜3日(水)
於:小国町白い森交流センター「りふれ」
(集落住民への行政の対応について)
○集落住民に対して、集落の現状を踏まえた上でどのような心のケアをするか、また、集落移転、再編では住民の気持ちに立って行政が対応可能なことが何かを考えることが一番大切である。
○社会的経験が豊富な職員を集落問題の担当窓口に配置して、当該職員が集落に出向き本当のところどうなのか手助けしていくことが大切である。
 条件が厳しければ厳しいほど、(集落で)何百年かの歴史があり、お年の方は一人になってもてこでも動かないという人が多い。ところが幾ら頑張ってみても、もう後継者はいないわけで、その人が息を引きとられたらいずれにしてもその集落は終わりだという状況です。
 
 役場の職員の方々といつも話しているのは、集落の現状を踏まえた中でそういう方々にどういう心のケアをするかということである。
 
 集落移転、再編で一番問題なのは、やはりそこに住んでいる人たちの気持ちになって、行政がどういう対応をしてあげるかというのが一番大切ではないか。
 ある程度社会的な経験があるような職員の中に集落問題の担当窓口でも置いて、やはりそういう問題の集落には出かけていって、本当にどうなのか。本当にこうしたらどうかというような手助けをしていくことが、非常に大切ではないか。
 
(国土保全の観点からの夏山冬里の意義)
○国土保全の観点からすると、夏山冬里は一つの良い方法ではないか。それに対して行政がどう基盤整備、条件整備をするかが課題になっている。
 また、国土保全の観点からすると「集落の維持」は「集落機能の維持」であり、「集落の移転」は「集落の維持」と違うとはいえない。
 よって、集落の再編整備がある意味では集落の国土保全機能の維持になるのではないか。
 
 夏山冬里というのは、国土保全という観点からすると万能というわけではないが一つの良い方法ではないか。場合によっては夏山冬里という形で、先祖伝来の土地の管理をするということが国土保全とも合うのではないだろうか。
 
 先祖伝来の土地にそのまま残って管理をやっていくというのも理想的ではあるが、それができない場合に、集落移転、再編成、そういう形も考える必要があるのではないか。
 そうなると夏山冬里の残った土地の経営方法をどう考えるか。それに対して行政がどう基盤整備、条件整備をするかということが、ますます課題になってくるのではないか。
 
 集落の維持というのはある意味で機能としての維持になるわけで、必ずしも集落の移転は集落の維持とは違うとは言えない。土地管理、保全という点からすると、滝集落のような集落の再編整備というのがある意味では、集落の国土保全機能の維持になるのではないかという、そんな非常に単純なことを頭の中で整理した。
 
 隣の集落の住民が滝の農地保全を引き受けなければ、原野化する。原野化すれば、住民も夏山冬里で上がってこない。滝の空間に農地がきちんと保全されているという形は、夏山冬里で住民を山に引き込む大きな魅力になっている。このことから移転跡地の農地整備はやはり必要だったのかなと思う。
 
 (集落の有する地域資源・環境の点検の必要性)
○集落の共有財産、地域資源・環境を点検して集落経営のインセンティヴを見つけ出すことが重要。
○集落点検の必要性を国が提示することで集落の維持が図られるのではないか。
 
 集落の共有財産みたいなものにこだわったり見直したり、そういうところから何か集落経営のインセンティブみたいなものを見つけ出したというのが非常に大きかった。それがワラビであり、ほかの人にとってみても宝だったということだと思う。
 
 改めて集落の環境とか資源をどういう視点から点検していくかということが非常に重要だと思う。限界に至ってない集落では集落環境点検あるいは集落資源点検を何か一つ国が啓発して提示してやらないと、気づかないうちに基礎集落がどんどん危機的な状況を迎えていくのではないか。
 
 集落(行政区)の統合という考え方もあるが、一番ニーズが高いのは、既存の行政区を残したままでお互いの役割分担とかお互いの連携がとれるような協力関係を築く、集落連合的な仕掛け、枠組みが必要との意見が多い
 
 必要なツールとしては集落を点検していく技術と、複数集落間で話し合う仕組みを築くこと、これが大事になってくる。








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