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3 京都市産業振興ビジョン
 この基本計画に先立って、京都市は、平成7年3月に「京都市産業振興ビジョン」を策定した。これは、おおむね2005年を目標年次とし、21世紀に向けて京都市産業のあるべき姿を示すとともに、産学公が一体となって推進すべき産業振興戦略を明らかにした中長期ビジョンである。
 このビジョンは、製造業を中心に、対事業所支援サービス業など製造業にかかわりの深い産業も加えた「ものづくり産業」を主な対象とし、その振興方向を明らかにしたものであり、製造業の振興のみを目的としたものではなく、京都の産業を「ものづくり」を切り口として捉え、産業振興のあり方を検討したものである。
 本稿のテーマは、新産業であるので、このビジョンについても、新産業の育成に関する部分について振り返ってみる。
 まず、「理念編」では、ものづくりが実践すべき行動理念として、「革新への挑戦:伝統は革新の連続によってつくられる」及び「創造的アルチザンシップの発揮:知恵と感性を基盤とした革新の精神」を掲げている。そして、今後のものづくり振興方策のあり方として、次の2点をうたっている。
1 革新を促す土壌づくり
 革新に向けたエネルギーをいかに創出するか
2 新しいものづくりに必要な基盤整備の推進 ものづくりの変化を先取りした先進的な産業基盤整備を推進する「実践編」では、施策体系として、次の3点を挙げている。
 ○ 未来産業都市・京都の創造(「革新への挑戦」という京都市のものづくりの根本的な行動理念を推進し、次代の京都市を担う中核企業群を創造する)
 ○ 新京都ブランドの創造と展開(京都市のものづくりが目指すべきオリジナルな価値の創造や味わい深さの追求を、京都市独自の方法や内容で展開する)
 ○ ものづくり都市・京都の支援環境整備(京都市のものづくりにおける新たな革新を促していくため、革新のための土壌づくり、支援体制づくりの方向を示す)
 そして、更に具体的には、「京都市産業振興ビジョン推進協議会の設置」及び「モデルプロジェクトの設定と推進システムの構築」が挙げられており、特に、後者については、具体的取組として、京都起業家学校(仮称)などを挙げている。
 京都市では、今日まで、このビジョンに基づいて、様々な新産業育成策を展開してきた。 








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