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3 新事業・新産業創出の必要性
 現在の経済状況を打破し、先行きの不安感を払拭するためには、国において経済社会システムの本格的な構造改革を推進し、不良債権の短期的処理及び財政の中期的健全化を図る必要があることは明らかであるが、これには企業倒産及び失業者の大量発生など大きな痛みが伴うことが予想されている。日本経済は、1980年代半ばより廃業率が開業率を上回る状況が続いており、このまま企業の再編、淘汰が加速すれば、さらに廃業率が上昇して開業率と乖離していく可能性がある。この痛みを和らげるためには、新事業の創出により新たな雇用の場を確保することが必要である。
 さらに、国際的な経営資源の最適配置を求める動きが加速し、ものづくり産業の空洞化が進む中、今後、日本経済を活性化し、高い経済成長を実現するためには、成長率や生産性上昇率の高い新しい産業、すなわち新たなリーディング産業群の育成が必要となる。
 アメリカ経済は、「規制から自由へ」、「独占から競争へ」という構造改革の努力が実を結び、IT投資を軸としながら需要の創造と誘発、生産性の上昇、さらなる技術革新という好循環の環を形成し、1990年代には年平均3〜5%程度のインフレなき持続的成長を遂げた。新事業・新産業の創出は、アメリカにおける経済再生に大きな役割を果たした手法であり、日本においても雇用の機会創出、新たなリーディング産業群の育成のいずれの面でも、大きな役割を果たすものと考えられる。








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