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5.仙台市の支援策
●IT関連事業所へのオフィス賃料補助
 産業クラスター実現に向けた第1弾として仙台市が実施したのが、「駅東ITアベニュー集積支援プロジェクト」である。地元商工事業者等でつくる「仙台駅東活性化協議会」を通じ、IT関連のベンチャー企業に対し、ITアベニュー地区のあらかじめ指定したオフィスに入居する場合に、その賃料の半額(上限10万円)を助成するほか、経営相談などソフト面でも支援を実施することにより、IT関連企業の集積を促進するというものである。
 事業を開始した平成12年度は2月には、電子商取引と技術者養成の2社が入居した。平成13年度は、10月〜11月にかけて募集した結果、新たに3社が入居している。 

●交流拠点整備事業
 平成13年度には、ITベンチャーのコミュニティ・ネットワーク強化のために企業家が集まる拠点を整備し、東口にあるIT関連企業で働く人の、フェイス・トゥー・フェイスの情報交換、セミナーの開催、投資家へのプレゼンテーションを実施していくこととしている。このほどようやく適当な場所が見つかり、2月中には交流拠点としてお披露目される見通しとなっている。運営は、地元IT関連団体が自主的に行うこととし、仙台市は運営団体への補助金を交付するほか、仙台市中小企業支援センターを通じた、経営等のソフト支援を行っていくこととしている。 

●仙台市情報産業プラザ/仙台市中小企業支援センター
 JR仙台駅北側至近のAER(アエル)ビル内の5〜8階にあり、仙台市の外郭団体である 仙台市産業振興事業団が運営する「仙台市情報・産業プラザ(ネ!ットU)」は、従来から仙台市の産業振興の拠点施設としての役割を担ってきたが、平成13年4月からは、新たに「中小企業支援センター」が設置され、ITベンチャーをはじめ、意欲ある地元の中小企業に対する支援を行っている。また、ネ!ットU8階にはITや環境、福祉などの今後成長が見込まれる分野の企業を対象としたインキュベーション施設として「起業育成室」(12室)が設置され、入居審査にパスしたベンチャー企業が、創業期の事業活動を行うための安価なスペースの提供と、経営や財務相談などソフト面での支援を受けながら、積極的な事業展開を行ってる。仙台市でも最新鋭のビルの中にある公的施設への入居という信用度と、仙台駅至近という交通アクセスの良さもあり、既に事業拡大のため起業育成室を巣立っていった企業もある。
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仙台市情報産業プラザ(ネ!ットU)
●仙台ソフトウェアセンター(NAViS)
 仙台市の第3セクターでもある(株)仙台ソフトウェアセンターが運営する情報化支援機関で、人材育成、情報システム構築、専門家のコーディネートなどを行っている。IT技術者向けの高度なワークショップが年間を通して多数開かれているほか、IT関連の各種プロジェクトを受託し、実施している。ソフトウェアセンターのビルにはIT関連企業が入居しているほか、1階にはオープンカフェテラスがあり、IT技術者などの交流の場ともなっている。
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仙台ソフトウェアセンター(NAViS)
●平成14年度の仙台ITアベニューに係る施策
 このほかに、新年度のITアベニュー構想の推進のための事業としては、 ITアベニュー地区の企業が無線LAN、光ファイバーなどの高速通信回線に加入する場合に、その初期工事費用の半額を補助することにより、高速回線に対する需要喚起や、新たな通信事業者の同地区への参入を促進する事業を計画している。
 また、交流拠点において、在京のベンチャーキャピタリストを招聘し、在仙企業がビジネスプランを投資家の前でプレゼンテーションを行う機会を設けたり、中小企業支援センターに新たに設置される予定であるITを専門に担当するサブマネージャーなどを活用し、ビジネスプランのブラッシュアップや、経営等ソフト面での支援を継続して行っていく予定である。 








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